三度笠

「泣くのは やめておくんなさいよ
泣くのが嫌さに笑って すごすはぐれの異三郎
他人(ひと)が泣くのを見るのも 辛うござんす」

人の浮世に 背中を向けて
やくざ三年 さんど笠
馴れたつもりの 草鞋の紐も
今じゃ一里で ゆるみがち

どこでどうして 狂ったのやら
俺の行く道 明日の道
一度狂えば 行く先ァ一つ
末はからすの 餌(えさ)になる

ドスで斬れない 情けの糸が
からむ男の 意地を斬る
野暮な奴だと 仰言(おっしゃ)いますが
野暮もたまには 夢を見る
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