願い

水面の月を 幾度とかき消した 細波
「偽物だから」と言わんばかりに
夜空の月を 眺めてみたものの 結局
本物は私だけのものにならない

どこにても私は私だと
願い事のように唱えている

広い海を知るのが怖いのは
私があまりに小さすぎるから
船の上で 例え沈むときを待っても
沈むことすら出来ずに ただ揺られて

どこにいても私は私だと
願い事のように 唱えながら

あなたの灯す 光は遠く 声は届かない
あなたの灯す 光の前で 声は散っていった

どこにいても私は私だと
願い事のように 唱えながら

「ここにいる」と 私は伝えたい
届くまでずっと 歌っている
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