蜃気楼

赤い月 素足の太陽は溶けて
へどろの海 降り注いだ星の雨に
生い茂るまだ若い木々が揺れて
騙された鳥達が羽を捨てる

連なる純白の山頂を目指せば
神の悪戯か 青い蜃気楼を見た
気が付けば口付けをためらう様な
香りの中 少年の歌

指先から倒れ込む振りをして
ひとつ 溜息 言葉を飲み込めば
舌触りは風 痺れる五感に
満ち溢れる光と影

揺れていた 軋む音に耳を澄ませば
愛しき君の声がして
ばたつく足 僕をまた踊らせる
揺れたまま 生き長らえてしまった僕を
許してくれとは言えないから
両目を寄せて 君の事を考える

指先から倒れ込む振りをして
ふたつ 溜息 言葉を飲み込めど
舌触りは風 震える五感に
気が触れれば光と影

あと二秒で 僕は消える
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