何も始まらないなら

坂道に並ぶ 街路樹の影
ひとつ越えるたび 帰したくなくなる
胸の片隅に 守る人がいる
そんな あなたでも 愛したかったの

鳥篭の中 なけなくなってく
あなたを 私を
逃がしてあげる

何も始まらないなら
どうせ 苦しいのなら
忘れられない人と 呼ばれ続けたい
風に乱れた髪を
そっと 抱き寄せられて
二度と逢えない匂い 胸に
吸い込んだ

星空のように あかり灯す街
届かないものは
美しく見えた

微笑みの嘘 見抜く瞳の色
救える言葉は
さよならだけね

何も始まらないなら
どうせ 苦しいのなら
髪を切るように 想い断ち切れなくても
いつか 他人のように
すれ違う街角で
別の名前に変わる 未来(あす)を選ばせて

何も始まらないなら
どうせ 苦しいのなら
忘れられない人と 呼ばれ続けたい
人は 愛されるほど
愛を返したいのに
行方 失くした永遠 胸に
ちぎれてく……

時に ちぎれてく……

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