冬花火

夜更けのガラス窓を つたう雨は
別れた女の 泪に似てる
意味なく小指で あいあい傘を
かくのが 寂しいくせだった
不倫という名の 手荷物を
ふやしておまえは
どこにいる

このまま俺の側で ねむりたいと
逢うたびおまえは くちびるかんだ
炎えてる心を 裏切るような
ひやりとつめたい 肌のいろ
みれんという名の 途中駅
下りれば夜風が
呼びもどす

ショールに頬をうめて 歩きながら
死んでもいいわと ぽつりといった
季節と同じに 消えてく恋は
つかの間夢みた 冬花火
別離という名の 停車場に
いまでもいそうな
うしろ影
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