井の頭線物語(「井の頭線」「井の頭線・あれから」より)

永福町で電車が停まる 急行の待ち合わせ
ドアが開いて吹き抜ける風 想い出が降りてゆく
いつもあなたは この手を引いて 急行に乗り換えた
走るように 生きるあなたと 歩くように 生きてた私
いつの間に いつの間に 離れてしまったの…
ひとり帰る 井の頭線で
今でも ふと 好きだと思う

下北沢の古道具屋で 風鈴をみつけたね
窓を開けても暑かった部屋 軒先で揺れていた
ふたりこれから どうしたらいい?
聞かれても黙ってた
打ち上げ花火 はしゃぐあなたと
線香花火 見つめる私
燃え尽きる 燃え尽きる 速さが違ったの?
ひとり帰る 井の頭線で
あなたを ふと さがしてしまう

明大前で途中下車して なつかしい駅の裏
古いアパート あの日のままで カーテンが変わってた
私あれから 引っ越したけど またここで暮らしてる
忘れたいと 泣いた夜も 忘れられず 目覚める朝も
少しずつ 少しずつ おもいでにするだけ
ひとり帰る 井の頭線で
あなたに ふと 呼ばれたようで

池ノ上の踏み切り越えて 暮れなずむ街の色
窓の外には ゆれる菜の花 また春が来たんだね
浜田山から 富士見ヶ丘へ 風の中あるいたの
帰りたいと 思う季節に 帰れないと わかってるから
さよならを さよならを 小さくつぶやいた
ひとり帰る 井の頭線で
あの日の空 思い出してる
今日も帰る 井の頭線で
あの日の空 思い出してる
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