ひめゆりの塔

(セリフ)
「沖縄決戦最後の日、お前たちが
ここ摩文仁の壕の中で、若い命を御国のた
めに捧げてから、すでに三十と三年。母さ
んもこの通りすっかり年をとってしまって。」

あなたに今日も 会いに来る
あゝひめゆりの 白い塔
乙女の青春(はる)を 祖国(くに)のため
笑顔で捨てた 健気(けなげ)さを
偲べば母は ただ泣ける

(セリフ)
「母さんは年をとっても、母さん
の心の中に生きてるお前は、いつまでたっ
ても女学生の制服姿のままなのです。」

緑の髪を 櫛けずり
あゝ水際で 散った娘(こ)よ
この手でせめて 別れぎわ
晴着を着せて みたかった
未練がいまも 胸を刺す

(セリフ)
「いまでも、あの頃のお前と同じ年
頃の娘さんを見かけると、つい思い出して。」

あなたの好きな 大好きな
あゝ沖縄の 青い空
形見の櫛を 抱き締めて
果てなく続く やすらぎを
ひたすら母は 祈ります
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