アンコ可愛いや

赤く咲いても 椿の花は
ホロリ落ちそで 落ちぬとさ
アンコ可愛いや 紅椿
どこのどなたに どこのどなたに
落ちる気か

(セリフ)
「あゝどうしたのかしらあの人。
三原山がまた火を噴いているのに
あゝ汽笛、船が入った、波浮の港へ。」

島の御神火 燃えたつ夜は
胸に想いを 焦がすとさ
アンコ可愛いや 紅椿
今日も岬で  今日も岬で
誰を待つ

(セリフ)
「あの人来なかった。ひとりぼっ
ちの島の娘はやっぱりこれでいいのかし
ら……。」

沖の瀬(せ)の瀬で 汐鳴る宵は
夢で千鳥も 嘆くとさ
アンコ可愛いや 紅椿
といた黒髪 といた黒髪
胸に抱く
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