母子船頭唄

(セリフ)
「母さんほらあんなきれいなお
月さんが」
「まぁほんとうに今夜は特にきれいだわねぇ」
「父さんも戦地でこのお月さん見てるかなぁ」
「そうねぇつい先だっての父さんからの手紙
にはあまり激しい戦闘もなく手柄話の書
きようがないってあったからひょっとして今
頃はおまえのことなどを考えながらこの
お月さんを眺めているかも知れないよ」
「そうだといいねお母さん」

利根のお月さん 空の上
ぼくとかあさん 水の上
漕いで流して 日が暮れる
船頭ぐらしは さびしいな

水に流れる お月さん
遠い戦地の とうさんも
ぼくやかあさん 思い出し
どこで眺めて いるでしょか

(セリフ)
「父さんが無事帰ってくるまで
はお前も母さんもまだまだ頑張らなく
てはねぇ」

もしもお月さん 鏡なら
戦闘帽子で とうさんが
進む笑顔を ひと目でも
見せて下さい お月さま

(セリフ)
「ねぇ母さん二人してお月さん
に父さんの無事を祈ろうよ」

こんな晩には 父さんが
いつもうたった 船唄を
かあさんふたりで 元気よく
漕いで流して うたおうよ

(セリフ)
「父さーん」
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