玄海船乗り

月のナ 月の出潮を 乱れて啼いて
何処ヘサ 何処へ飛んでく 玄海がらす
よいしょ 俺らは鼻うたきげん
板っ子一枚 波の上
男ヨ 男冥利(おとこみょうり)の 船乗り稼業

波をナ 波を枕に ごろ寝としゃれりゃ
積るサ 積る未練の 血潮が騒ぐ
よいしょ 今夜もあの娘の夢に
ちょっくら暇みて 逢いに行こ
偲びゃヨ 偲びゃ瞼に あかりが揺れる

船はナ 船は櫓(ろ)でもつ 櫓は腕次第
ここはサ ここは名に負う 荒海千里
よいしょ 荒れよが かぶろがままよ
俺らは天下の 独り者
月とヨ 月と同じ 玄海暮し
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