母恋三味線

いつの間にやら ネオンの町に
泪いろした 雨が降る
娘ざかりを さすらいの
三味にまかせた 身の上よりも
聞いて下さい 流し唄

どこか知らない 遠くの空で
母が呼ぶよな 声がする
縋(すが)りつくよに 振りむけば
つなぎ止めてた 希みの糸が
なぜか情(つれ)なく また切れる

愛想笑いも 上べの仕草
心もとない ひとり旅
たとえ私は 濡れたとて
せめて三味だけ 濡れないように
そっとかばった 露地の裏
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