潮来舟

こんな悲しい 涙の恋を
知っているやら 利根の月
真菰(まこも)がくれに 人目をさけて
今日も棹(さお)さす 潮来舟

うわさばかりで 帰らぬ人を
待てば十九の 春がくる
呼んでみましょか 水竿(みざお)を止めて
あやめ祭りの あの夜を

潮来お前は 十二の橋を
もっていながら 何を泣く
わたしゃひとつの 思い出さえも
消えてはかない 捨て小舟(おぶね)
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