面影橋

あなたは私を 抱くようにして
私はあなたの 匂いに酔って
汗ばむ二人は 春の橋
恋はいく度も して来たけれど
破れほつれた思い出を
洗い流して水が行く
陽炎(かげろう)ゆらゆら 面影橋

あなたの右手が 私の肩に
私の左手 あなたの腰に
ぬくもり伝えて もつれます
何も言わない あなただけれど
どこか明日(あした)をみるような
水の都の二人づれ
昔が消えます 面影橋

初心(うぶ)な恋など したかのように
いずれ苦労をするように
行きつ戻りつ 春の夢
ここから始まる 面影橋

月日が流れて行くように
女の想いも 愛も哀しみも
みんなどっかへ 流れていってしまいます……
せやけど 橋は女たちの思い出
そこから又 旅立って行く事を
……忘れんといてほしいんです
誰かて 一生けんめい生きて行かな
あきませんもんねぇ
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