かあさんの歌

かあさんが夜(よ)なべをして
手袋編(てぶくろあ)んでくれた
“木枯(こがら)し吹(ふ)いちゃ冷(つめ)たかろうて
せっせと編(あ)んだだよ”
ふるさとの便(たよ)りは届(とど)く
いろりの匂(にお)いがした

かあさんは麻糸(あさいと)つむぐ
一日(いちにち)つむぐ
“おとうは土間で藁打(わらう)ち仕事(しごと)
お前(まえ)もがんばれよ”
ふるさとの冬(ふゆ)はさみしい
せめてラジオ聞(き)かせたい

かあさんのあかぎれ痛(いた)い
生味噌(なまみそ)をすりこむ
“根雪(ねゆき)もとけりゃもうすぐ春(はる)だで
畑(はたけ)が待(ま)ってるよ”
小川(おがわ)のせせらぎが聞(き)こえる
懐(なつ)かしさがしみとおる
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