海峡の宿

さいはて本線 そこから先は
吹雪を抱く海 夏泊(なつどまり)
ひとの噂の 吹きさらし
いいのあなたと あゝ一緒なら
さしつさされつ 契り酒
ふたり雪国 海峡の宿

遠くは凪でも 近くは時化よ
世間の裏やら 表やら
薄い灯りが あればいい
厚い背中が あゝあればいい
酔ってあなたの 腕の中
いのち赫々 海峡の宿

生まれはどうあれ 生き方だけは
変えられますとも 自分から
夢のつづきを 追いかけて
仰ぐ夜空に あゝ彗星が呼ぶ
雪を切れ切れ 寒椿
明日は咲きます 海峡の宿
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