桂冠詩人

わが心を夜毎
冷たい月の
光に凍らせて
粉々に砕けば

燦爛と燃え
破片は胸を刺さん
これが愛する痛みと

白亜の神殿に
刻まれた幾万の詩
過去からの営み
なぞる如く生きては
ただ歌を紡ぐ
狂おしき宿命

なおも馨しく
苦しみ伝う血

わが涙を注ぐ
静かな海に
水面の輝きに
抱かれて沈むなら

深淵に落ち
蒼い真珠とならん
偽りなき恋ならば

想いの海原を
言葉は帆船(ふね)になって
どこまでも旅する
辿り着く岸辺は
この世にはないのに
波は永久に寄せる

頭上に戴く
泡沫の花よ

天へと捧げん
空に書き風に詩い
最後の一節まで
月桂の葉匂う
美し供物となれ
この命を添えて

すべて時の砂
埋もれたあとも
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