歌詞の気持ちよさとは?

 2024年4月17日に“ポルカドットスティングレイ”がNew Digital Single「ブラックボックス」をリリースしました。同曲は月刊コロコロコミックで人気連載中『ブラックチャンネル』YouTubeアニメのテーマソングとして書き下ろした作品。うねるベースとタイトなドラムに攻撃力抜群のギターが重なり合った緊張感の高いアレンジで、ダークヒーローであるブラックを。歌詞では、どんなことがあっても友だちのブラックを信じる主人公・さとしの気持ちを表現した炎上上等なアグレッシブな楽曲となっております。
 
 さて、今日のうたではそんな“ポルカドットスティングレイ”の雫による歌詞エッセイを3回に渡りお届け!綴っていただいたのは自身の作詞論。第2弾のテーマは<歌詞の気持ちよさとは?>というお話です。言葉の音としての気持ちよさを重視する雫の様々な工夫とは…。ぜひ、ポルカドットスティングレイの楽曲の歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください!



歌ネットに記事を書ける光栄・第2回です。
作詞論の話をしています。これを読めばみんなも今日から作詞できます。
 
前回の記事で話しましたが、私はサウンドの心地よさを重視した作詞をしています。
もうちょっと掘り下げようネ。
 
日本語って正直、歌にそこまで向いてない言語です。
日本語は「音節言語(Syllable-timed language)」です。これに対し、英語を含む多くの言語は「重点言語(Stress-timed language)」と呼ばれます。
日本語はひらがなに分解され、一音一音を同じ長さ・強さで発音しますが、英語などには強いアクセントがついています。
流れの言語なんですネ。だから、アクセント以外の部分は意外と適当でよかったりするし、詰めたり繋げたりしやすい。
 
歌たるもの、音の気持ちよさが欲しいですよね。
 
私は日本語を英語みたいにアクセントで捉えてメロディに当てはめ、繋げたり詰めたりしています。
それでもダメなら英語も使ってゴリ押します。
韻魔人だからね。すぐ踏む。赤ちゃんと一緒。なんでも口に入れる。
 
例えば、「天誅」2サビの歌詞がこちらです。
後半の韻ポイントを見てみましょう。
 
――
 
熱中が欲しい
熱中してそっと、
あなたにあげるわ
熱殺蜂球のハイ Core i 
その喉のせい
分かっていたのに
 
――
 
突然のCore i。intelもびっくり。
「熱殺蜂球のハイ Core i 」部分、「oai」にしたいがためにこうなりました。
「ハイ」のhを弱めに発音し、「Core i」のcoreは「コー」と発音してOKですので、わりと同じ音に聴こえるようになっています。
こういうところで、音としての気持ちよさを出しています。
私の歌、日本語でもちょっと英語っぽいよね。滑舌弱者であるため、仕方なくこうなっている側面もあります。だまれ!!
 
そして、韻を踏むと、そのルールから外れた部分を強調することができます。
「天誅」の落ちAメロを見てみましょう。
 
――
 
これをずっと待っていたの?
二度と戻って来られない場所
あなたはこんなにバカなのに
 
――
 
文末、「ao」できてたのに!バカなのに!?!?
韻の安心感が無くなったとき、ハッとさせることができるんですネ
こういう意味でも韻は大事。
 
そして、韻よりもさらに大事なことがあります。
メロディと、実際の言葉のイントネーションを揃えることです。
 
私の歌はマジで全部そうなってるから聴いて。
歌詞を普通に朗読したときの音の上がり下がりと、メロディの上がり下がりを、可能な限り一致させます。
 
ブラックボックス」の1サビを見てみましょう。
 
――
 
大問題だけど信じてる
絶体絶命
それでも結構!
怪物に堕ちた天使
正直悪くない
だからGimme!
BLACK BOX 
 
――
 
歌詞を実際に喋ったときのイントネーションを大げさにしたみたいな歌メロになっています。
普通の喋りにも音程ってついてるからね。ここを一致させると、とっても心地よい歌になります。
 
こんな偉そうに語ってるけど私は作詞苦手です。
頑張って書いてるんだからね。歌詞も読んでよね!
 
<ポルカドットスティングレイ・雫>



◆New Digital Single「ブラックボックス
2024年4月17日リリース
作詞:雫
作曲:雫