また春が来て僕らは、ごめんね、欲張ってしまう。

咲き始めたたんぽぽと 雪になりきれずに伝った雫
なんか 泣き顔に見えた気がして 思わず傘を差しだす
「春が来てぼくら」/UNISON SQUARE GARDEN

 2018年3月7日に“UNISON SQUARE GARDEN”がニューシングル「春が来てぼくら」をリリースしました。この歌はTVアニメ『3月のライオン』のOPテーマとして書き下ろされた楽曲です。まず冒頭フレーズに登場する【たんぽぽ】は英語で【ダンデライオン】と言いますよね。すると<咲き始めたたんぽぽ>とは、アニメタイトルの“ライオン”に通じているようにも、新たな節目を迎える登場人物たちの姿を表しているようにも思えてきます。

 また【たんぽぽ】には【別離】という花言葉がございます。この歌に描かれているのも、まさに冬が春へバトンタッチする【別離】の時を目前にした<ぼくら>の感情。そんな切ない時期だからこそ、たんぽぽに伝う雫が<泣き顔>に見えるほど心にとまったのでしょう。さらに<思わず傘を差しだす>ことには“最後は涙ではなく、綺麗に咲いた笑顔でありたい”という想いも込められている気がしますね。そして歌詞を読み進めていくと、ますます伝わってくるのが、卒業生を含め“これから新しい世界へ進む全ての人”の心に刺さるフレーズの強さです。

右左どちらが正解なのか
なかなか決められずに道は止まる
けど浮かぶ大切な誰かに悲しい想いはさせない方へと

小さな勇気 前に進め
ちぐはぐなら ナナメ進め
進めたなら 光になれ
コトリ 高鳴りと コトリ 寄り添うように
季節の針は音立てるだろう
「春が来てぼくら」/UNISON SQUARE GARDEN

 人生で<右左どちらが正解なのか>と、立ち止まることは多々。誰しも自分が「後悔しないよう」「失敗しないよう」「幸せになれるよう」色々と考えては、迷います。ただ、その選択には自然と<浮かぶ大切な誰かに悲しい想いはさせない方へ>という気持ちも含まれているのではないでしょうか。自分だけではない<大切な誰か>を想う気持ちが<小さな勇気>になり、その<小さな勇気>が進む力になり、やがて<光>に繋がる。そうやって<ぼくら>は音立てる<季節の針>と共にコトリと未来へゆくのでしょう。

また春が来て僕らは新しいページに絵の具を落とす
友達になった、おいしいものを食べた、
たまにちょっとケンカをした
それぞれの理由を胸に僕らは何度目かの木漏れ日の中で
間違ってないはずの未来へ向かう
その片道切符が追い風に揺れた今日は 花マルだね
「春が来てぼくら」/UNISON SQUARE GARDEN

 サビではそんな<ぼくら>が今、未来への<片道切符>を手にそれぞれ<追い風>に揺られている前向きな姿が見えてきます。きっとその<追い風>は<友達になった、おいしいものを食べた、たまにちょっとケンカをした>これまでのささやかな時間の積み重ねから生まれたもの。先ほど<大切な誰か>を想う気持ちが<小さな勇気>になると述べましたが、誰かとの確かな“思い出”もまた、勇気に、支えに、自信になるのです。それがあるから<間違ってないはず>だと思える<未来>に向かってゆけるのです。

髪型変えて一個パチリ
水たまり踏んで一個パチリ
飛沫が滲んでなんかホロリ
まばたきの数だけ写真になれ
「春が来てぼくら」/UNISON SQUARE GARDEN

また春が来て僕らは ごめんね 欲張ってしまう
新しいと同じ数これまでの大切が続くように、なんて
「春が来てぼくら」/UNISON SQUARE GARDEN

 過去の“思い出”を勇気に変えて<間違ってないはずの未来へ向かう>花マルな今日。しかし綴られているのは、そんな割り切った強さだけではありません。<まばたきの数だけ写真になれ>と願うほど、この一瞬一瞬すべてが愛おしくてたまらない気持ち。それゆえに<新しいと同じ数これまでの大切が続くように>と欲張ってしまう気持ち。終わりがあるから始まりがある!なんてそう簡単には思えないんですよね…。

 そして、今にすがりたくなるその気持ちは、ポジティブに進むべき<ぼくら>にとって<花マル>ではないかもしれないと想うからこそ<ごめんね>という言葉も綴られているのでしょう。でも、この零れた<ごめんね>こそが「春が来てぼくら」を一層、儚く切なく美しく際立たせるひと言だと思います。たとえば、花が誰かの“散らないで”という想いによって命をより輝かせるかのように。<ごめんね>に込められた本音によって“今この瞬間”はより、生きて光っているように感じられるのです。

また春が来て僕らは新しいページに絵の具を落とす
友達になった、おいしいものを食べた、
たまにちょっとケンカをした
それぞれの理由を胸に僕らは何度目かの木漏れ日の中で
間違ってないはずの未来へ向かう
その片道切符が揺れたのは
追い風のせいなんだけどさ
ちゃんとこの足が選んだ答だから、見守ってて
「春が来てぼくら」/UNISON SQUARE GARDEN

 大切な誰かとの思い出やその人たちを想う力による<追い風>と、ちゃんと答を<この足が選んだ>という覚悟と、つい零れてしまう<ごめんね>の本音。そんな【別離】の時を目前にした<ぼくら>の感情が“今”というページに<絵の具>でしっかり描き抜かれているのが、UNISON SQUARE GARDEN「春が来てぼくら」です。これから新しい世界へ進む方はもちろん。今を生きるすべての方にこの歌が届きますように!

◆14thシングル「春が来てぼくら」
2018年3月7日発売
初回限定盤 TFCCT-89648 ¥1800+税
通常盤 TFCC-89649 ¥1200+税

<収録曲>
01. 春が来てぼくら
02. ラディアルナイトチェイサー
03. Micro Paradiso!