君に何から伝えるべきだろう、こんな気持ち見たことがないな。

明けましておめでとうございます。
今年も一緒に頑張りましょう。
(2018年1月1日 flumpool 山村隆太)

 今年の元旦に“flumpool”のボーカル・山村隆太さんがツイートした言葉です。文中の「一緒に」という一言がまたグッときますね。flumpoolは昨年末、山村さんの喉の病の治療のため、当面の間の活動休止を発表しました。それゆえに心配していた方もたくさんいらっしゃったと思いますが、このツイートでほんの少しホッとしたのではないでしょうか。どうか無事、声が回復なさりますように…!

 さて、今日のうたコラムではそんな“flumpool”のニューシングル「とうとい」をご紹介いたします。12月26日にリリースされたこの新曲は、メンバーが全国ツアーを周るなかで、オーディエンス一人一人と向き合いながら歌詞を変え、作り上げていった楽曲だそうです。つまり<君>とは、皆さん一人一人のことであるということ。

君に何から伝えるべきだろう
こんな気持ち見たことがないな

喜びでも嘆きでもなくて
ただ静かな鼓動を聞いて
「とうとい」/flumpool

 大切な誰かや何かを想うだけで、うまく言葉にできず、涙が溢れてしまうような時ってありませんか? たとえば、ファンの皆さんが“flumpool”を想う時も然り。それは<喜び>では収まらなくて<嘆き>からはこぼれ落ちるような気持ち。まさに<こんな気持ち見たことがないな>です。また<ただ静かな鼓動を聞いて>実感する、生きてこその気持ちです。

「希望とか理想とか 無くしたってどうでもいいよ」
代え難い笑顔で そう君が言ってくれるなら

虹の見えない街でもいい
雲のように流れても
君に出会えたこの街でさ
何度でも君に会いたい

同じ笑顔で返すことも
ろくにできない僕だけど
伝えたい言葉がある
笑ってくれてありがとう
「とうとい」/flumpool

 ただ、そうした自分の気持ちに名前はつけられなくても、伝えるべき言葉、伝えたい言葉は山ほどあることでしょう。きっと、代え難い笑顔で「希望とか理想とか 無くしたってどうでもいいよ」と伝えてくれた<君>だって、喜怒哀楽などを越えた“とうとい”想いを<僕>に対して抱いているはず。

 そして、その名づけられない“とうとい”想いはちゃんと<僕>に届いていることが歌詞からわかりますね。だからこそ<僕>もまた<何度でも君に会いたい>や<笑ってくれてありがとう>という、シンプルだけれど、とっても大切な言葉を、真っ直ぐ<君>に伝えることができているのです。さらに、歌が進むにつれ<伝えたい言葉>は、どんどん膨らんでゆきます。

雨の続く日々もあるさ
晴れの日だけ歩けはしない
心は濡れたままでもさ
君が前を向けるように

上手く笑えないような時
全てが嫌になるけど
全てを嫌いになっても
君は君を 好きでいてよ

虹の見えない街を歩こう
雲のように流れていこう
君が生きてるこの景色が
何度でも虹に代わる
「とうとい」/flumpool

 歌の冒頭では<虹の見えない街>を歩くことや<雲のように流れて>ゆくことは“自分のための言葉”でした。しかし、それが途中からは“君の心が濡れた時”に贈りたい言葉に変わり、歌の終盤では<虹の見えない街を歩こう 雲のように流れていこう>と、そうやって“一緒に”生きてゆこうというメッセージを伝えているように感じられます。

同じ歩幅で歩くことも
ろくにできない僕だけど
伝えたい言葉がある
どんな時も愛してるよ

今日が終わるその時まで
その笑顔が晴れるように
聞いてほしい言葉がある
生まれてくれてありがとう
「とうとい」/flumpool

 そして、最後の最後<どんな時も愛してるよ>、<生まれてくれてありがとう>というフレーズが温かく胸に沁みますね。これは<僕>が<君>に伝えたい言葉でもあり、もちろん<君>が<僕>に伝えたい言葉でもあるのでしょう。flumpoolからわたしたちへ。わたしたちからflumpoolへの言葉です。

 また、恋人や家族や友達などなど、みなさんにとってのたくさんの“とうとい”人を思い浮かべながら、この「とうとい」という楽曲を何度でも聴いてみてください。その“とうとい”想いが、大切な人へちゃんと届きますように…!

◆New Single 「とうとい」
2018年12月26日発売
初回限定盤 AZZS-71 ¥2,000 (tax out)
通常盤 AZCS-2070 ¥1,200(tax out)