清水依与吏がこれまでラブソングで描いてきた【幸せ】とは…?

 2017年12月20日に“back number”がリリースしたニューシングル「瞬き」が、歌詞ウィークリーランキング5週連続で首位を独走中!発売日には、カップリングの「ゆめなのであれば」と「ARTIST」もデイリートップ10入りを記録しており、まだまだアクセス数を伸ばしてゆくことでしょう。さらに、年末は音楽特番に出演するたび、過去楽曲も再燃。番組放送後には、彼らの楽曲がリアルタイムトップ20の9割をズラリと占めるほど、その人気が顕著に表れております。

幸せとは 星が降る夜と眩しい朝が
繰り返すようなものじゃなく
大切な人に降りかかった雨に傘を差せる事だ
「瞬き」/back number

 さて、新曲「瞬き」の公式コメントに『なるべく体温を感じる音と血の流れを感じる言葉で構築された力強いものになるよう心掛けました』と綴っていた、ボーカル・清水依与吏。だからこそ、この曲の歌詞には【幸せとは~だ】など、力強い意志で言い切るようなフレーズが多く見られますよね。

 また、彼はMステのトークでも『あんまりネガティブな表現とか濁す表現は控えました。(今までの歌詞は)すごく濁していました。【~かも】みたいな…』と語っていたのが印象的でした。では、これまでのback number楽曲では【幸せ】というものが、どのように描かれてきたのでしょうか。今日のうたコラムでは、フレーズに<幸せ>が登場する歌詞に注目してみました。

最初から
あなたの幸せしか願っていないから
それがたとえ私じゃないとしても
ちゃんと最後は
隠した想いが見つからないように
横から背中押すから
誰よりも幸せにしてあげて
「幸せ」/back number

1番好きな人が幸せならもう何もいらないって
何より誰よりもあなたが
あなたを照らす光にわたしはなりたい
でも痛い胸は痛い わたしに気付いてほしい
「stay with me」/back number

 どちらの楽曲の主人公も、自分の恋は報われないのに<あなたの幸せ>や<1番好きな人が幸せ>であることしか願っておりません…。そうやって誰より何より、相手のことを想う気持ちは「瞬き」の描く【幸せ】=<大切な人に降りかかった雨に傘を差せる事>に通じている気がしますね。それに「幸せ」でも「stay with me」でも、主人公はしっかりと想いを言い切っているように感じられるでしょう。

あなたが今しているのは
私が一番聞きたくない話なのに
それでも聞き続けるのは
あなたに会えなくなるよりは
まだ少しだけましだから
「幸せ」/back number

 ただ、この2曲は「瞬き」と決定的に異なるところがあります。ひとつは、自分にとっての本当の【幸せ】をわざと見ないようにしているであろう点。もうひとつは、想いを言い切っているのではなく、自らに“言い聞かせている”であろう点。もちろん<あなたの幸せ>を願っていることは真実でしょう。だけど、もっと本音を言えば<あなたの幸せ>のなかに自分が含まれていてほしい。本当は自分が幸せにしてあげたい。

 けれど、そんな自分にとっての【幸せ】は叶わないし、本音を伝えたせいで<会えなくなるよりは まだ少しだけましだから>こそ、主人公は<あなたの幸せ>を願いながらそばにいることを選んでいるのです。ある意味【不幸】と引き換えの選択です。そして、たまに<わたしに気付いてほしい>という想いがこぼれそうになっても、何度も<1番好きな人が幸せならもう何もいらない>と言い聞かせて、恋心や自分の幸せを“濁している”のだと思います…。

もし僕が君の 恋人になれた時は
同じ気持ちに なれたそのあかつきには
全体的に君を 楽しませつつも僕が
幸せになる事でしょう
「君の恋人になったら」/back number

 しかし【幸せ】が描かれているのは「幸せ」や「stay with me」のように、切なく苦しい楽曲ばかりというわけでもございません。たとえば「君の恋人になったら」という妄想炸裂の片想いソング。こちらでも、やはり<全体的に君を 楽しませ>ることを大切にしようとしており、いつでも相手を一番に考えているところは上記の3曲と同じですね。さらに、この歌の場合は、良いベクトルで「瞬き」に通じるところがあるんです。

幸せとは 星が降る夜と眩しい朝が
繰り返すようなものじゃなく
大切な人に降りかかった雨に傘を差せる事だ
そしていつの間にか僕の方が守られてしまう事だ
いつもそばに いつも君がいて欲しいんだ
「瞬き」/back number

 それは、相手のための行動が自分の【幸せ】に直結していること。つまり「君の恋人になったら」で<全体的に君を 楽しませつつも僕が 幸せになる事>と「瞬き」で<いつの間にか僕の方が守られてしまう事>は同じなのです。まだ「君の恋人になったら」の場合は“想像”ですので<幸せになる事でしょう>と綴られており、言い切る表現ではありませんが、もしもいつか二人が結ばれたなら<僕>はきっと「瞬き」の<僕>のように真っ直ぐな恋人になることでしょう…!

 こうして歌詞を読んでみると、「幸せ」や「stay with me」や「君の恋人になったら」などなど、これまで様々な楽曲で描かれてきた【幸せ】が「瞬き」のフレーズに繋がっている気がしますね。まさにback numberの真骨頂、集大成、最高値が新曲「瞬き」なのです。みなさんも年末年始、改めていろんな楽曲の歌詞をじっくり楽しんでみてください。