離れてゆく心が見えながら「会いたい」なんて言えるわけないだろ。

いつだって
なかなか既読にならない
未読のままのラインが不安で
君が少し会いたいって言うから
思わず飛び出した午後8時
こらえきれずかけてしまう電話
夜の高速道路
耳に飛び込んでくる震えた声で
「私、好きな人ができたの」

すでに泣いていた僕の頭の中は真白になって
滲んでいくフロントガラス
「ホワイトアウト」/reGretGirl


 この歌は、大阪を拠点に活動する3人組バンド“reGretGirl”が2017年12月13日にリリースする初の全国流通盤1stミニアルバム『my』の収録曲。今年4月にMVを公開してから、3ヶ月で30万回再生を突破し話題となり、現在では50万回を突破している人気楽曲です。ちなみに彼らのバンド名は、ボーカルの“平部雅洋”がかつて彼女(girl)にフラれ『いつか有名になってフッたことを後悔(regret)させてやる』と思ったことに由来しているんだとか。

 アルバムの1曲目に収録されている「ホワイトアウト」は、まさにそんな彼らのバンド名に繋がる楽曲。「私、好きな人ができたの」と、フラれるその瞬間から描かれております。一方の<僕>はいつだって不安で会いたくてたまらなくて、全然まだ好きなんですよね。だからこそ、完全にホワイトアウトしてしまった脳内…。【ホワイトアウト】とは、一面の雪の乱反射で視界全体が真っ白になってしまい、天地の区別も方向も距離もわからなくなってしまう現象です。今、彼の心もそんな危険な状態なのです。

言い返す言葉ももう見つからず
「最近返事が遅いのはきっと忙しいからなんだ」
そう言い聞かせてたことを後悔して
君に腹がたつ

「もっと思ってること口に出せばよかったのに」なんて
離れてゆく心が見えながら
「会いたい」なんて言えるわけないだろ
「ホワイトアウト」/reGretGirl


 また【ホワイトアウト】というタイトルは、失恋した<僕>の脳内のショック状態だけを表す言葉ではなさそう。まず彼は、だいぶ前からこの恋が続くためにどうすれば良いのかわからなくなっていたのでしょう。なかなか既読にならないLINEだけでなく、彼女のいろんな言動から<離れてゆく心>は見えていたはず。でも「最近返事が遅いのはきっと忙しいからなんだ」と自分に言い聞かせたり、心がもっと離れるのが怖いから、「会いたい」を堪えたり。つまり修復の道も、ホワイトアウトしていたということです。

ふたりで過ごした時が今
君の新しいその誰かへと
出会うための時間に代わっていってしまう
「ホワイトアウト」/reGretGirl


 さらに、続く歌詞を読んでいくと、彼は駐車場で「お願いだからどこにもいかないで」と<君にすがりついて 大きな声で泣き出す始末>に陥ったりもするのですが、何をしたって、時すでに遅し。「私、好きな人ができたの」と告げた彼女はもう<新しいその誰かへ>向かって違う道を歩き始めているのです。こうして<ふたりで過ごした>過去も<たわいもない日々をもっと過ごそう>と願っていた未来も、ホワイトアウトしてしまいました。

どうにかなってしまいそうで
もうどうにでもなれとも思えてきて
繰り返されることはもうない
キスも、愛も、君も、

どうにもならなくなってゆく
どうにかしたくてもすでに遅くて
繰り返されることはもうない
あの日も、笑顔も、僕も、
キスも、愛も、君も、
「ホワイトアウト」/reGretGirl


 そして、あの日も、笑顔も、僕も、キスも、愛も、君も、自分自身の理性もホワイトアウトしてゆくラスト。これから彼は絶望のなか、車で帰らなければいけないわけですが、大丈夫なのでしょうか…。余談ですが、実際にホワイトアウト現象に陥ったときは、とにかく雪がおさまるまで動かずジッとすることが大切なんだそうです。だからこの彼も<もうどうにでもなれ>なんて気持ちのままではなく、どうかほんの少しでも冷静になってから運転し、なんとか無事に帰宅できますように…。
 
 尚、「ホワイトアウト」に関するリスナーのコメントには「身に覚えがある」という声がかなり多いようでした。切なく、苦しく、共感力もバツグンなこの曲。最近、恋人にフラれたばかりだという方は是非、じっくりと歌詞に浸ってみてください。

◆紹介曲「ホワイトアウト
作詞:平部雅洋
作曲:平部雅洋

◆1st mini album『my』
2017年12月13日発売
NBPC-0046 ¥1,944(tax in)

<収録曲>
1. ホワイトアウト
2. デイドリーム
3. 二色浜
4. after
5. クラムジーミーツ
6. room