大人になればなるほど、きっと、かなしみも増えていくけど…。

 スペシャルユニット“福耳”が、両A面シングル『ブライト / Swing Swing Sing』を2017年8月23日にリリース。山崎まさよしがプロデュースを手がけ、昨年デビュー10周年を迎えた2組のアーティスト、長澤知之が「ブライト」を、秦基博が「Swing Swing Sing」を書き下ろし。そして、福耳に初加入となる竹原ピストル・浜端ヨウヘイ・松室政哉のほか、杏子・岡本定義・あらきゆうこ・元ちとせ・スキマスイッチ・さかいゆう、総勢12組の演奏と歌唱による新曲が届きました!

 さて、今日のうたコラムでは、そのシングルから秦基博による作詞作曲「Swing Swing Sing」をご紹介いたします。ちなみに今回のアートワークは、福耳メンバーの“子どもの頃なりたかった職業”が書き下ろされたイラストで構成されているんです。山崎まさよしは漫画家、長澤知之は探検家、秦基博は野球選手、などなど。彼らはいずれも、子どもの頃なりたかった職業とは違うものの“音楽家”という形で夢を叶え続けておりますよね!では、みなさんはいかがですか…?

なんとなくわかった顔をして
低体温気味なこの毎日
問いかけることさえ忘れてた
「Swing Swing Sing」/福耳

失敗はしたくないなぁなんて
空気読みすぎな ここ最近
みんなの中 息をひそめて
「Swing Swing Sing」/福耳

 歌のAメロに綴られているこのフレーズに、思わず頷いてしまった方も多いのではないでしょうか。夢も恋愛も生活も、現状は人それぞれ。ただ、大人になればなるほど、経験した分だけ<なんとなくわかった顔>になり、やる前から「どうせ…」と、結果が見えて<失敗はしたくない>気持ちが勝ってしまう、そのような感覚は誰しも多かれ少なかれ、抱いたことがあるのではないでしょうか。大人だからこそ、過去から未来を予想してしまうのです。

 そうすると自ずと、毎日は<低体温気味>になり、物事に対してのときめきも、挑戦することで得る刺激も、自分自身に対しての<問いかけ>も、忘れられてゆくのだと思います。人生は一度きりなのに、なんだかもったいないですよね…。しかし、きっと“心の炎”は<みんなの中 息をひそめて>いるだけであって、完全に消えてなくなってしまったわけではありません。突然、その心の炎を思い出すことだってあるのです。

でも 今日は少し様子が違う
やおら 熱を帯び始めたのは
たぶんね 君に会えたから
「Swing Swing Sing」/福耳

大人になればなるほど
すぐ 臆病が顔を出すけど
君が 構わず手を引くから
駆け出していたんだ
「Swing Swing Sing」/福耳

 ゆっくりと主人公が<熱を帯び始めた>きっかけの<君>とは、好きな人や親友、同志、家族など、尊敬する“誰か”なのかもしれません。また、必ずしも人間であるとは限りませんよね。日々のなかで見つけたささやかな目標、趣味、音楽…、そういった“何か”が<君>として擬人化されているとも捉えられます。わたしたちには、自分の心の炎を思い出させてくれる、そんなかけがえのない<君>が、必ずどこかに存在するのでしょう。

走れ まずはそれから
悩んでたら終わっちゃうんだよ
からっぽにして あたま
愛せ どんな昨日も
一度しかない瞬間だろ
ほら 信じてみな oh baby
振らなきゃ 当たらないんだから

大人になればなるほど
きっと かなしみも増えていくけど
同じくらいに よろこびも
見つけていけるような自分でいたいな
「Swing Swing Sing」/福耳

 そして、その<君>との出逢いにより<低体温気味な>自分に変化が訪れたのです。それは「変わろう」と思えるようになったという変化です。大人になればなるほどかなしみも増えていくし、愛しがたいような昨日もある…。それでもバットを<振らなきゃ 当たらない>し、何も始まらないんですよね。でも、バットを振ることで、昨日を越えられるかもしれないんですよね。
 
 そうやって毎日「Swing Swing Sing」を繰り返していくうちに、いつか<どんな昨日も>愛せる自分になり、かなしみと<同じくらいに よろこびも 見つけていけるような>自分でいられるようになっていくのだと思います。今、夢を叶え続けているという方にも、大きな目標に向かっている途中だという方にも、やりたいことが見つからないという方にも、聴いていただきたい1曲…!是非、新曲「ブライト」と併せて歌詞をチェックしてみてください。