愛する人のために生きる、そんなことは、僕はもうやめた。

 2017年6月7日、歌手としてデビューシングル「見たこともない景色」をリリースした菅田将暉。この曲は、鬼ちゃん(菅田将暉)が、au三太郎シリーズのサッカー応援CMで歌っており、歌ネットではゴールドリリックとして歴代人気曲にも認定されております。そんな彼が8月30日に、2ndシングル「呼吸」をリリース!タイトル曲は、自身初の作詞参加したラブソングです。先週、Mステで生披露されたのをご覧になった方も多いのではないでしょうか。放送日の歌詞デイリーランキングでは2位に初登場!

愛する人のために生きる
そんなことは 僕はもうやめた
「呼吸」/菅田将暉

 さて、このようなフレーズで幕を開ける新曲。どうして“僕”は、愛する人のために生きることを<そんなこと>なんて思うようになり、そんな生き方は<もうやめた>と吐き捨てているのでしょうか。それは、ひとつの大切な恋を失ってしまったからです。お相手は、いつわりのない笑顔が魅力的だった女性。やがて二人は恋人同士になり、彼は本気で<愛する人のために>生きようとしていたのだと思います。しかし彼は、ほんの少し、愛し方を間違えてしまったのです。

行き場のないこの想い
抑えきれずひとりきりでもがいた
きっとあのころは やさしさを間違えてた
涙なんか本当は見たくない

傷つけて 傷ついて
君をだいじに想えた
どうして人は愛するのだろう
消えないこの想い 君だけはそばにいる気がしていた
あの日の笑顔 わすれたいな
「呼吸」/菅田将暉


 誰かのために生きるといっても、やはり心のどこかでは見返りを求めてしまうものですよね。好きで好きで、呼吸をするのも苦しいくらい愛していて、だからこそ相手にも同じくらい愛してほしかった…。その<行き場のない>思いを抑えきれず、時には<傷つけて 傷ついて>、太陽のような笑顔が素敵だったはずの彼女の哀しい涙で<だいじ>を確認してしまっていたのではないでしょうか。

 それでも彼のほうは、ずっと<君だけはそばにいる気がしていた>わけですが、そんな恋ではやはり心が疲れ切ってしまいます。その結果、彼女は限界を感じ、二人の関係は終わりを迎えてしまったのでしょう。これほど愛していた人を失ったら<愛する人のために生きる そんなことは 僕はもうやめた>と思ってしまっても仕方がありません。ただし、この「呼吸」はネガティブな失恋ソングのまま終わるわけではないのです。

息をすう 息をはく
ただそれだけのことで
どうしてこんなに苦しいのだろう
見なれた東京のくもり空
なぜか心地いいビル風
君のいない道 歩きはじめた

これから何をする どこへ行く
ただ飛べるだけの翼を手にいれたよ わすれないで
愛することをわすれないよ
「呼吸」/菅田将暉

 息をすう、息をはく、そうやって“呼吸”を繰り返してゆくうちに、歌の中で主人公が少しずつ変化していることがわかります。太陽のような存在だった彼女を失った現状。それは<東京のくもり空>に重なりますが、彼はそこから生まれるビル風を心地よく感じながら<君のいない道>を歩き始めたのです。そして<これから何をする どこへ行く ただ飛べるだけの翼を手にいれたよ>というフレーズによって、冒頭の<愛する人のために生きる そんなことは 僕はもうやめた>というフレーズが、前向きのベクトルに変わったような気がしませんか…?
 
 つまり、あの頃は、無理をして愛にがんじがらめになっていたけれど、失恋して自由になって初めて、しっかりと愛することに向き合えたのではないでしょうか。だからこそ、歌の中盤では<わすれたいな>と思っていた彼が、ラストでは<わすれないで 愛することをわすれないよ>という想いにたどり着けたのでしょう。彼は、愛することを諦めたわけではなく、むしろ本当の意味で、愛することを知ったのです。ドン底から始まり、そこから一歩、未来へ踏み出すまでの“呼吸”を描いた菅田将暉のラブソング、是非、歌詞をチェックしてみてください!

◆紹介曲「呼吸
作詞:菅田将暉・飛内将大
作曲:飛内将大

◆2ndシングル「呼吸」
2017年8月30日発売
初回生産限定盤 ESCL-4904~4905 ¥1,667(税抜)
通常盤 ESCL-4906 ¥1,000(税抜)

<収録曲>
1.呼吸
2.雨が上がる頃に
3.呼吸(Instrumental)