泣き出したいのに笑ってる、キミはそんな気しませんか?

 2017年8月23日、Flowerが今年の第3弾シングル『たいようの哀悼歌』をリリースしました。第1弾シングルの「モノクロ」と「カラフル」は、前者に女性目線、後者に男性目線の感情が綴られ、両曲が対になっているラブソング。第2弾シングルの「MOON JELLYFISH」と「とても深いグリーン」は、前者がブルー、後者がグリーンのイメージカラーを持った楽曲で、いずれも“幸せ!”と言い切れるラブソングではないものの、誰かをまっすぐに想う気持ちの尊さが伝わってくる歌詞でした。では、第3弾の「たいようの哀悼歌」とカップリング曲「Stranger」にはどのようなテーマがあるのでしょうか。

炎に放った 流せない涙
夢なんて見ないよ 傷つくだけさ

生まれた瞬間から ひとりきりだった
俗に言う“愛”など 捨ててしまった
「たいようの哀悼歌」/Flower

この世で一番 哀しい 夜が来る
砂漠を照らし嗤ってる星へと願ってみたって
決して叶わない
だからせめてもうヴェール纏ったままで
踊り続けるよ
あの鳥は何処?
あの花は何処?
あの人は何処?
「たいようの哀悼歌」/Flower

 タイトル曲に描かれているのは、この世で一番、哀しい夜。主人公は、傷つくだけだから<夢なんて見ない>し、ずーっとひとりきりだったから<俗に言う“愛”など捨ててしまった>し、何もかも<決して叶わない>と歌っております。圧倒的な絶望を感じますよね…。また<砂漠>というワードは、涙さえ流せずに、渇き切ってしまった心を表しているかのようです。でも、それでも、自分自身に<ヴェール>かけて誤魔化すことで、なんとか生きてゆかなければならない。そんな哀しいくらいに強い“孤独”が「たいようの哀悼歌」の芯になっているものではないでしょうか。

泣き出したいのに笑ってる
キミはそんな気しませんか?
「Stranger」/Flower

 一方、このような問いかけから幕を開けるのはカップリングの新曲「Stranger」です。先ほどは“孤独”にスポットが当たっておりましたが、こちらは同時に“群れ”にも目が向けられている楽曲。歌詞には<Everyday Everynight囚われの身 キミはそんな気しませんか?>、<ひとりきりがイヤだから 群れの中紛れ込んでいませんか?>、<好きなものは何ですか? キミは誰ですか>と、群れて自分らしさを押し殺している現代の人々に対するクエスチョンが続きます。

誰もかれも私を Stranger扱いするのよ
野生の言葉をいつも自由に話して
好きなように生きてみたいだけなの
面倒くさい 面倒くさい(Strange? Strange?)

誰もかれも私を Stranger扱いするのよ
全員同じような服を着ているくせして
アノ子もコノ子も ファッションモデル気取るわ
面倒くさい 面倒くさい(Strange! Strange!)
「Stranger」/Flower

 【Stranger】とは、見知らぬ人や部外者を表す言葉。【Strange】は、変なものや異様なものを意味する言葉です。つまり主人公は、群れずに<好きなように生きてみたい>という信念のもと行動することで、周りから異様だとみなされ、部外者扱いされるのでしょう。しかし、そのことは孤独なんかじゃありません。“孤”ではなく個性の“個”がしっかり伝わってくるのです。孤独なのはむしろ、群れから外れないために<泣き出したいのに笑ってる>ような毎日を過ごしている人のほう。そして、歌のラストで放たれるのが「そんな人たちこそ変だ!」という“私”からの力強いメッセージです。
 
 こうして歌詞を読んでみると「たいようの哀悼歌」にも「Stranger」にも、異なる角度から“孤独”というものを描かれていることがわかりますね。「たいようの哀悼歌」は、哀しくて絶望的だけど強い孤独。そして「Stranger」は、群れることにより生まれてしまう孤独です。今までは“あなた”との切なく美しいラブソングを歌ってきたFlowerとして、新境地のシングルとも言えそうですね。是非、今作の2曲ではじっくり“私”と向き合ってみてください…!

◆「たいようの哀悼歌」
2017年8月23日発売
初回生産限定盤A(CD + DVD) AICL-3390~1 ¥4,850(税込)
初回生産限定盤B(CD + DVD) AICL-3392~3 ¥1,850(税込)
通常盤(CD)] AICL-3394 ¥1,000(税込)
期間生産限定盤(CD) AICL-3395 ¥1,000(税込)