あなたの為なら死んでもいいって、本気で思っていたんだ。

やさしくて危うくて、絶望的で、恋は魔物です。

 そんなキャッチコピーを掲げる男女二人組ロックバンド“恋は魔物”が、2017年8月2日に1st EP『他に好きな人ができた』をリリース!みなさん、恋は盲目という言葉はよく聞きますよね。恋に落ちると、自分を見失ってしまい、周りがみえなくなってしまうという状態です。しかし“恋は魔物”とは、それよりさらに重症な様子を表していそう。魔物は、人をだまして惑わせる怪しい力を持ち、ときには破壊に導いたりもするんです。

雨上がりの虹
あなたに見せたいと思った
私は稚拙だった
とっくに二人終わってた
「美しくってばかみたい!」/恋は魔物

 そして1st EP『他に好きな人ができた』に収録されている全5曲には、まさに恋という名の魔物にたぶらかされてしまった主人公たちが描かれております。まず今作の入口になっているのは「美しくってばかみたい!」という失恋ソング。お相手と別れた理由は、歌詞にはっきりとは綴られていませんが、もしかしたらEPのタイトルどおり、彼に“他に好きな人ができた”のかもしれませんね…。

雨上がりの虹
空に罪はないから
私は腹が立って灰皿蹴飛ばした
恐ろしく綺麗に飛び散った

私はあの頃
あなたの為なら死んでもいいって
本気で思っていたんだ
私はあの頃
怖いものなんて何ひとつないって
本気で思っていたんだ
可愛いね
「美しくってばかみたい!」/恋は魔物

 あなたに見せたいと思った雨上がりの虹も、腹が立って蹴飛ばした灰皿も、美しい。あの頃、本気で<あなたの世界の全てになれる>と、<あなたの事を神様だ>と、<あなたの為なら死んでもいい>と、<怖いものなんて何ひとつない>と、思うくらいに愛した気持ちも美しい。だけど、その美しさが際立てば際立つほど、同時に、裏切られた哀しみも痛々しく伝わってくるのです。どんなに美しく輝いていたって、その眩しい時間にはもう二度と戻れないのですから。

やがて二人は容赦無く
傷つけ合うようになって
思えば思うほど空回りしていた
あなたは最後の最後に目を見てこう言った
「二人出会わなければよかった」と

ばかじゃない!
「美しくってばかみたい!」/恋は魔物

 そんな美しかった恋にトドメを刺した彼の言葉は強烈です。たとえどんなに傷つけ合った相手であっても、一度は<死んでもいいって 本気で思っていた>人に、最後の最後に「二人出会わなければよかった」なんて言われたら、これほど残酷なことはありません。きっと彼女は何度も何度も、脳内でラストシーンを再生したことでしょう。そして、バカみたいに愛してしまった自分に、美しすぎたあの頃に、まだ愛しい彼に「ばかじゃない!」と腹を立てるのです。でも、その怒りの正体はやっぱり、哀しみですよね。

先の事とかどうでもよくなって
私はただの馬鹿な女になりさがったんだ
「ともだち」/恋は魔物

わたしが欲しいと泣いたあなた
わたしは死んでもいいと思った
「あなたとの関係」/恋は魔物

涙は舐めてあげるからさ
お願いだよ あなた丸ごと愛させて
「あなたには関係ない」/恋は魔物

わたしはどうやらバグっちゃったみたいでさ
あなたの痛がる顔が見たいと思っちゃうんだよ
「夜の国道にて獣を轢く」/恋は魔物

 さて、こちらも1st EP『他に好きな人ができた』の収録曲たち。ワンフレーズを抜き出してみただけでも、主人公が恋という魔物にかなり侵食されていることがわかります…。全心全身で恋をしてしまっている“わたし”の、やさしくて危うくて、絶望的な恋模様を是非、歌詞でも目の当たりにしてみてください!