それでも分かり合えると信じて、心の瞳をこらす。

最後に心から泣いたのはいつ頃だったっけ?
最後に君と心から笑いあえたのはいつ頃だったっけ?
「虹」/高橋優

一歩ずつ そうだ 一歩ずつ
何か見つけたら笑おう心のままに
「シンプル」/高橋優

 8月8日は【笑いの日】と呼ばれています。笑顔といえば思い浮かぶのが“高橋優”さん。ファンの方はご存知のように、彼の楽曲には非常に多く「笑顔」「笑う」「笑い合う」といったワードが登場するんです。2017年7月26日には、両A面シングル『虹/シンプル』がリリースされたのですが、やはりどちらの表題曲の歌詞にも“笑”の文字が!さらに、今作には<心から>誰かと笑い合うため、<心のままに>笑うためのヒントがまだまだギュッと詰まっております。そこで今日のうたコラムでは、たくさんの人々の笑顔を強く強く願う高橋優のニューシングルから、カップリング曲をご紹介!

仕事終わりに同僚と家路を歩いている時
俺らに声をかけてきた年頃の女子二人組
「これからちょっとうちらと一緒に遊び行きませんか?」
「なんならあたしの部屋に一緒に遊び行きませんか?」
「白米の味」/高橋優

 JA全農あきた『あきたこまち』CMソングに決定した楽曲です。女子二人組に逆ナンされるところから幕を開ける物語。声をかけられた“俺ら”は<たまにはこんな夜を過ごしても>と、見知らぬ女の子の家へ。しかし、呑みながら会話をしていくうちに、実は彼女たちには遠恋中の彼氏がいることが判明…。彼氏に会える日までの寂しい夜を紛らわすために<同じように寂しそうな人たちに声かけて ワンナイトラブでもなんでもいいから付き合ってもらって>いるんだと明かすのです。そして、そんな話を聞いた“僕”の心にはグッと怒りが込み上げてきます。

お菓子やおつまみパクパク頬張り続けた後で
白米を出されたって美味そうに見えないみたいに
間食ばっかしてるやつらに飯の味は分かんねえだろうよ
つまみ食いのような日々のあとに会う恋人の心よ

そう言って部屋を飛び出した僕の耳に
「腹でも減ってたのかな?あいつ」って
笑う声が聞こえる
はい、その通り

腹減った
真っ白いご飯が食べたいんだ

腹減った
真っ白いご飯を食べさせてくれ
「白米の味」/高橋優

 よく浮気の言い訳として「たまにはつまみ食いもしたくなる」なんて言葉を聞きますが<間食ばっかしてるやつらに飯の味は分かんねえだろうよ>…まさにそのとおり。また、白米というワードが“恋”を比喩しているように、<腹減った>=“心の空腹”なのだと思います。サビで連呼されるこのフレーズから、主人公がいかに愛を求めているのか、ひしひしと伝わってくるようです。彼が女の子たちからの逆ナンに乗ったのも、ワンナイトなんかじゃなく本当の愛に出会えるかもしれない、という可能性に賭けたかったからではないでしょうか。

 だから<真っ白いご飯が食べたいんだ>というフレーズはきっと、愛したい、愛されたい、心から笑い合いたいという気持ちを表しているのです。そして、誰かと“心から笑い合う”ためには<つまみ食いのような日々>じゃダメなのです。…ところで、この歌にも<笑う声>というワードが含まれていますね。主人公にとっても、聴いている側にとっても、気持ちの良いタイプの“笑い”ではないでしょう。ただし、もう1曲のカップリング曲「Fitting」を聴くと、その<笑う声>を完全否定できるだろうか、とも考えてしまいます。

僕にとっての悪者を裁いてやると叫んでも
私が正しいと思うことこそが正義と唄っても
自分の瞳に丁度いいメガネを人に貸すようなもの
嘘つきはいないのに

僕の瞳に丁度いい メガネは君には合わない
ただそれだけのことなのに
今尚消えない悲しみ
「Fitting」/メガネツインズ(高橋優&亀田誠治)

 この曲は、高橋優&亀田誠治のユニット“メガネツインズ”シリーズの第五弾。もしかしたら「白米の味」の主人公の瞳に<丁度いい メガネ>だって、寂しさを埋めるために浮気を繰り返す女の子たちには<合わない ただそれだけのこと>なのかもしれません。あの女子二人組は、空しいことも、良くないことも重々承知の上で、なんとか自分を保つための“メガネ”をかけているのかもしれません。そう思うと、他者の恋愛を否定することも<自分の瞳に丁度いいメガネを人に貸すようなもの>である気がしてきませんか?

誰もが同じ景色を見ていて
人の数だけ違く見えていて
それでも分かり合えると信じて
心の瞳をこらす
心のメガネ探してる

君は今、何を見てる
「Fitting」/メガネツインズ(高橋優&亀田誠治)

 その人が心にどんなメガネをかけて、どんな景色を見ているのか。自分とはどんなところが違うのか。そんなことを考えることも、誰かと“心から笑い合う”ためのヒントなのだと、高橋優の新曲は教えてくれるのです。また、心の視力が低下して、周りが見えなくなってしまっている人に対しては、その瞳に合うレンズを探す手助けをしてあげることも<分かり合える>ための一歩なのでしょう。「虹」「シンプル」「白米の味」「Fitting」、是非じっくりと歌詞と向き合ってみてください。