忘れないよ、こんな雨の日に空を見上げてきたこと。

魔法は いつか解けると 僕らは知ってる

 そんなフレーズで幕を開けるのは、4人組バンド“SEKAI NO OWARI”が2017年7月5日にリリースした新曲「RAIN」です。この曲は、7月8日から全国公開スタートの映画『メアリと魔法の花』主題歌として書き下ろされました。監督は、スタジオジブリ出身の米林宏昌氏。【この夏、メアリは出会う。驚きと歓び。過ちと運命。そして、小さな勇気に。】というキャッチコピーを掲げる物語の主人公は、11歳の少女・メアリ。彼女はある日、禁断の“魔女の花”との出会いをきっかけに、一夜限りの魔女になるのです。

 しかし、それは束の間のチカラ。メアリにはとある試練が待ち受けているのですが、いざという時、一夜限りの魔法の力は失われてしまいます。残されたのは一本のホウキと大切な人たちとの約束のみ。彼女は小さな勇気を胸に、一体どうやって運命を切り開いてゆくのでしょうか…。さて、主題歌「RAIN」の歌詞は、そんなメアリの心の中を空模様になぞらえて描かれております。セカオワメンバーと米林監督、そしてプロデューサーの西村義明氏、6人が話し合いを重ねながら楽曲を作り上げていったのだそうです。

傘を差し出す君に映る僕は濡れてない
水たまりに映る僕は雨に濡れてた

幸せなような 涙が出そうな
この気持ちはなんて言うんだろう
ファフロツキーズの夢を見て起きた
涙が頬で乾いていた
「RAIN」/SEKAI NO OWARI

 不思議なフレーズですよね。おそらく、実際の“僕”の状態は<水たまりに映る>姿であり、悲しみの雨に濡れていたのでしょう。でも<傘を差し出す君>の存在によって、まるで魔法のように、その悲しみを忘れることができていた、ということなのだと思います。<幸せなような 涙が出そうな この気持ち>の名前はうまく言い表せませんが、ただ伝わってくるのは、“君”への「ありがとう」で胸がいっぱいな“僕”の気持ち…。

 尚、歌詞に綴られている<ファフロツキーズ>とは、その場にあるはずのないものが空から降ってくる“怪雨”という現象を意味する造語だそう。それはメアリにとって、魔女になるという運命のことなのかもしれませんね。そして、その夢のような現実のなかを駆け抜け終えたとき、彼女は<涙が頬で乾いて>いて、悲しいだけで終わるわけではない“雨”の意味を知ったのではないでしょうか。

虹が架かる空には雨が降ってたんだ
虹はいずれ消えるけど雨は草木を育てていたんだ
虹が架かる空には雨が降ってたんだ
忘れないよ こんな雨の日に空を見上げてきたこと

虹が架かる空には雨が降ってたんだ
虹はいずれ消えるけど雨は草木を育てていくんだ
虹が架かる空には雨が降ってたんだ
いつか虹が消えてもずっと僕らは空を見上げる
「RAIN」/SEKAI NO OWARI

 雨が草木を育てていくように、涙も人の心を育ててゆく。いつか“虹”は消えるし魔法は解けるけれど、そこに確かに希望があったことはこれからの大きな勇気になる。そんなメッセージを感じます。ちなみに、映画『メアリと魔法の花』が製作されたのは、原作である『The Little Broomstick』という児童文学のセリフに、プロデューサーの西村氏が魅了されたことがきっかけなんだとか。そのセリフは【この扉を開けるのに魔法なんか使っちゃいけない。どんなに時間がかかっても、自分の力でいつもどおりに開けなきゃ】という言葉です。

雨が止んだ庭に 花が咲いてたんだ
きっともう大丈夫
そうだ 次の雨の日のために 傘を探しに行こう
「RAIN」/SEKAI NO OWARI

 セカオワの「RAIN」はこのように幕を閉じるのですが、『The Little Broomstick』のセリフに通じるものを感じますね。もう魔法に頼らず<次の雨の日のために 傘を探しに行こう>=自分の力で扉を開いてゆこう、という決意が込められているのではないでしょうか。映画を観終えた後には、メアリの成長と共に自分も一歩踏み出してみようと思えるようなこの主題歌。是非、劇場にてお楽しみください…!

◆ニューシングル『RAIN』
2017年7月5日発売
初回限定盤A【CD+謎のDVD】 TFCC-89620 ¥1,800+税
初回限定盤B【CD+謎解きDVD】 TFCC-89621 ¥1,800+税
通常盤【CD】 TFCC-89622 ¥1,200+税