まだ気にしてる、あの子にタグ付けされてた写真が削除されたことも。

 学生の頃は、卒業という節目のたびにちゃんと「さよなら」や「バイバイ」を告げることができたのに、大人になるといつのまにか縁が切れていたことに気づき(あぁ、アレが最後だったのか…)なんて思い知ることが多々ありますよね。しかし最近では、世界の若者の中で、大事な恋人がいきなり音信普通になるという事態まで起こっているんだとか。それを【ゴースティング】というそうなんですが、ご存知ですか?
 
 『クーリエ・ジャパン』というサイトに掲載されていた記事によりますと、【ゴースティング】とは、交際相手のSNSを突然ブロックして、まるで“幽霊”のように姿を消すことを意味するそうです。現代流の自然消滅というやつでしょうか。する側はクリック1つで別れられるので気楽ですが、される側はLINEの既読がつかないままの状態が続くだけだったりするので、何がどうなっているのかもわからず、たまったものじゃありません。恋愛アプリやSNSで簡単に出会えるようになった時代だからこその、ゾッとする別れ方ですよね…。

君からメールの返事が来ない
いつまでたっても眠れやしない
朝まで待っても返事が来ない
君からメールの返事が来ない

また気にしてる また気にしてる
君が3時間前にタイムラインにつぶやいてたこと
まだ気にしてる まだ気にしてる
あの子にタグ付けされてた写真が
削除されたことも

目覚ましが鳴る前に
検索してるの 君のこと
こんなあたしじゃなかったの
痛い女とか思ってんでしょ?
バカだな...
「検索」/Saku

 シンガーソングライターの“Saku”がリリースした最新ミニアルバム『KENSAKU E.P.』に収録されている「検索」も、捉え方によっては【ゴースティング】の可能性が考えられます。彼女は、彼から返事が来ないからFacebookやTwiteerを念入りにチェック。返信はないのに、SNSには投稿している。イライラ。<あの子にタグ付けされてた写真が 削除された>ことも怪しい。モヤモヤ。でも、返信が来ないのは、すでに“ブロック”されているからなのかもしれません…。もしそうだとしたら<あたし>はいつまでこの検索地獄な毎日を過ごさなければならないのでしょうか…。

君が3日前 髪を切ったわけは
あの子に会う為だったんだね

あの子と君が同じ
時間に載せてた写真

そういうことだったんだね
あたし一人で舞い上がって
あぁ…バカみたい
写真付きのメールとか
ハートマークとか
とくに意味は無かったんだね
最初から君は
「最初から君は」/Saku

 また、別れ方もそうですが、失恋の仕方も、恋心とちゃんとさよならできないようなやるせない形が増えていることでしょう。『KENSAKU E.P.』に収録の「最初から君は」がその一例ですね。彼女は告白するチャンスも諦める時間もなく、SNSの<あの子と君が同じ時間に載せてた写真>で自分の失恋を察するのです。これは恋の【ゴースティング】とも言えそう…。そしてきっと<写真付きのメールとか ハートマークとか>送ってくれていた“君”は、彼女が出来たことで徐々に、“あたし”のもとから幽霊のように消えていってしまうのだと思います。

本当は君ともっと話がしたいよ
ねぇ 今あたしのことどう思ってんの?
めんどうだなとか思ってんの?
スタンプで返すのやめて
「スタンプ」Saku

 尚、最新ミニアルバムには、こんな楽曲も収録されております。もしかしたら世の中には、告白をされても、別れるときも、「ごめん!」スタンプで済ませてしまうという方もいるのかもしれません…!これは【ゴースティング】よりはマシなのでしょうか…? そんな、現代の恋愛を象徴する楽曲が詰まっている『KENSAKU E.P.』、是非歌詞をじっくり読んでみてください。あなたの行き場のない気持ちが、成仏するかもしれません…。

◆4th mini album 「KENSAKU E.P.」
2017年5月3日発売
AICL-3323 ¥1,500(+税)

<収録曲>
1.検索
2.最初から君は
3.スタンプ
4.サークルフェイス