人を愛せばやさしくなって、限界以上に我慢してしまうだろう。

 2017年5月24日に“乃木坂46”が3rdアルバム『生まれてから初めて見た夢』をリリースしました!今作は、国民的アイドルグループへと成長した彼女たちが、未知への挑戦をする姿をイメージさせるようなタイトルとなっております。またジャケット写真も、乃木坂駅から新たな場所へ向かう車両がコンセプトなんです。今日のうたコラムでは、新章を切り開いてゆくそんなアルバム収録曲をご紹介!

夏になるといつも想う
甘酸っぱいあの頃
どこからか吹いて来るんだ
懐かしいそよ風
「君が扇いでくれた」/乃木坂46

 まず、ニューアルバムには、これからやってくる“夏”に聴きたい新曲が詰まっております。<いつもの夏と違う>ことを予感させるラブソング「裸足でSummer」から始まり、<真っ逆さま 落ちて行く>夏の恋を描いた「スカイダイビング」、さらに初回生産限定盤では「君が扇いでくれた」、「設定温度」、初回仕様限定盤Type-Aでは「ごめんね、スムージー」、「醜い私」、初回仕様限定盤Type-Bでは「満月が消えた」、といった楽曲でそれぞれ夏の物語を堪能できるのです。

瞼(まぶた) そっと閉じるその度に
右の方から風が来る
そんな錯覚感じるくらいに
あの日が恋しくて…

ふいに君が扇(あお)いでくれたね
クリアファイルや下敷きで
授業中にさりげなくそっと…
小さな告白に
ドキドキした
二人の秘密
「君が扇いでくれた」/乃木坂46

 この曲には、大人になった主人公が回想する、ちょっと照れくさくて甘い青春時代の夏が描かれております。暑がりの“僕”を時々、授業中にそっとクリアファイルや下敷きで扇いでくれていた“君”の姿…。そのやさしい風に込められていた淡い恋心まで歌に乗って伝わってくるようです。こんな素敵な<二人の秘密>があったなら、夏のうだるような暑さにもむしろ感謝したくなりますね。しかし“暑さ”という同じテーマから、まったく違う物語が綴られている楽曲も。

僕だけどうして
こんな苛立つのか
今も君のことを
愛してても…

このエアコンの設定温度
君と僕はきっとすれ違っているんだ
少し下げれば 涼しくなると
わかってはいても
君が寒がってしまう

そんな気遣いは
無駄なことらしい
僕のTシャツは
汗でびしょ濡れだ
夏のせいじゃない
「設定温度」/乃木坂46

 <君ってどうして 汗をかかないんだろう?>と、そんなフレーズで幕を開けるのがこの曲。暑がりの彼は、一緒に暮らしている寒がりの彼女のために<汗でびしょ濡れ>になりながら我慢をしております。同棲して初めて実感したであろうすれ違い、夏の熱気で一層増してゆく苛立ち…。先ほどの「君が扇いでくれた」よりもグッと現実的で、生活感のある歌詞ですよね。この物語からは、青春時代のように「好き!」という思いだけじゃ済まない大人の恋愛の難しさが見えてきます。

この恋愛の設定温度
君と僕はもっと言い合った方がいい
人を愛せば やさしくなって
限界以上に
我慢してしまうだろう

そんな暑がりと
そんな寒がりが
一緒に住むから
愛と呼べるんだ
「設定温度」/乃木坂46
 
 そしておそらく、彼の不満は<エアコンの設定温度>だけに留まらないはず。ともに生活していくなか、愛しているがゆえに、いろんな面で小さな我慢を重ねているのでしょう。もしかしたらそれは、彼女の方も同じなのかもしれません。とにかくこのカップルは、末永く一緒に生きていくためにも<もっと言い合った方がいい>のです。そうしなければ、いつかお互いのモヤモヤが爆発してしまう日がやってきそう…。どうか二人が<愛と呼べる>暮らしを送れますように…!

 さて、乃木坂46のニューアルバム『生まれてから初めて見た夢』で、様々な“僕と君”の夏を楽しんでみてください!