高望みはしていないのに、ハッピーは気まぐれに去っていくから。

本の貯金ってしたことある?
大好きな本はすぐに読まずにとっておく。
「いつの日か読もう」
そうやってどうでもいい本から読んでいって
でも気がつくと、貯めておける未来なんてないの。
そして大切な本は開かずじまいになってしまう
(映画『ベロニカは死ぬことにした』より)

 本の貯金。新鮮な響きの言葉ですが、伝えていることはよくわかります。読むのが楽しみで仕方ない大切な本こそ、時間をかけてじっくり浸りたい。だからその時間がちゃんと作れるまで、読むのを先延ばしにして、楽しみを貯めておくのでしょう。でも現実は、仕事やらプライベートやらどんどん忙しくなって、徐々に“いつか”読むはずだった本から離れ、気がつけば永遠に開かずじまいになっているのです。このセリフは、本のみならずいろんなことに通じそうですね…。

読みかけの本をどこかに忘れたの
今やっと読めるのに
やっと好きになったのに

まただ いっつも こうだ
どうして?
どうしてなの?
なんだろ いいよ 別に
「Happy Life」/中島美嘉×Salyu

 さて、この新曲にもまた一人【本の貯金】に失敗してしまった主人公が描かれております。「Happy Life」は、“小林武史”がプロデュースを手がけた、“中島美嘉”と“Salyu”のコラボソング!作詞は“安藤裕子”と小林が担当し、4月から東京メトロ『Find my Tokyo.』の新CMソングとして流れている楽曲です。尚、5月12日から楽曲配信がスタート!「Happy Life」=“幸せな人生”と名付けられたこの曲には、一体どんな物語が描かれているのでしょうか。
 
 一冊の本を、読みかけのままとっておいた主人公。時間ができたら続きを読もうと楽しみに、後回しにしていたのでしょう。しかしいざ<今やっと読める>という状態になったのに、その本が見当たりません。失くしたなら同じものを買えばいいだけじゃん!とも思いますよね。でも、そういうことではないのです。きっと<まただ いっつも こうだ>とため息を吐いている主人公にとって<読みかけの本をどこかに忘れた>ことなんて、アンハッピーのほんの一例なのです。

放物線落下物みたい
わたしは落ちていますか?
側からみてどうか
気にしてどこに行こうか

だったら いいのよ 別に
なんでしょう?
そうなの また
いつも いつも ただ

ハッピーは 自分の心が決めるから
ハッピーは 気まぐれに訪れてくる
でも
ハッピーは 隣のあなたの笑顔でも
ハッピーは 作れるものと知っている
「Happy Life」/中島美嘉×Salyu

 <放物線落下物みたい>。このフレーズからは、いくつもの“何か”を逃がしてきた主人公のこれまでが見えてくる気がしませんか? <やっと好きになった>読みかけの本を失ったように、恋愛も仕事も、やっと上がってきたと思ったら落下の繰り返しだったのでしょう…。もしかしたらそれは【本の貯金】と同じく、ためておける未来なんてないのに、大切なことを先延ばしにしてしまったことが原因なのかもしれません。ただし、そんな人生だからこそ気づくことができるのが<ハッピー>の本質です。

ハッピーは 高望みはしていないのに
ハッピーは 気まぐれに去っていくから
ほら
ハッピーは この電車に揺られているかも
ハッピーは あなたの横に座っているかも
ハッピーは 自分の心が決めるから
ハッピーは 作れるものと知っているけど
ハッピーは 今日は遠くにいるみたいだから
ハッピーは 誰かの横にいるのかも
「Happy Life」/中島美嘉×Salyu

 幸せは<自分の心が決める>もの。それゆえに自分の心の状態が悪いと、読みかけの本も実りかけの恋も叶いかけの夢も<気まぐれに去って>しまいます。逆に、心の状態が良いときにはハッピーな出来事が<気まぐれに訪れてくる>のです。“今は心がダメダメで、今日もアンハッピーな出来事が起こってしまったけど、すべては自分次第なんだ。”そんな思いを主人公は今、心の状態が良くない自分に言い聞かせているのではないでしょうか。また、どんな時でも幸せは<作れるものと知っている>ということも、自身を支えてくれそうですよね。

 “最近、なんだかツイてない。どうして?どうしてなの?”という気分のあなた。是非、中島美嘉×Salyu「Happy Life」を聴いてみてください。<ハッピー>の本質を知って、自分の心の状態と向き合って、ちょっとした行動を変えてみることが「Happy Life」のきっかけになるかもしれません…!