ふと見上げた空、あまりにも綺麗で、これに勝てる本物はない。

 5月16日は<旅の日>と言われております。この記念日は、旅文化の向上をめざす団体・日本旅のペンクラブが1988年に制定したもの。俳人・松尾芭蕉が「奥の細道」の旅へと出た日であり、せわしない現代生活の中でも“旅の心”を大切にし、旅のあり方を考え直そうという日なんだそうです。さて、今日のうたコラムではそんな旅先で是非、聴いていただきたい新曲をご紹介いたします。遠くへ行くと、なんだかその土地の“空”が特別、心に沁みることってありませんか…?

ふと見上げた空 あまりにも綺麗で
これに勝てる本物はない
ふと触れた心 問いかけてみるけど
何を思うのかは分からずに

透きとおるような青が淡く広がる
“優しく包むように”を胸に生きてきたけれど
雨雲に覆われ街を濡らしてくように
涙が溢れ出してく

見上げた空のように素直に生きてゆけるのならば
止まない雨はないって言葉信じて生きてくだけで
強く前に進めば陽が射す明日が来るのだから
逃げない やめない 終わらない
居場所をみつけるよ
「空」/urata naoya

 この曲は、昨年デビュー11周年を迎えたグループ“AAA”のリーダー“urata naoya(浦田直也)”が4月26日にリリースしたニューアルバム『unlock』のリード曲。ソロとして活動し、4作目となる今作は、urataが全曲の作詞を手がけたコンセプトアルバムとなっており、自身の心を解き放った深く、大きく、真っ直ぐな想いが綴られております。そしてピックアップした「空」の歌詞では、心模様と空模様が重なり、彼の内側にある様々な表情を見せてくれるのです。
 
 まず伝わってくるのは<透きとおるような青>が淡く広がった空。その色は、彼がこれまでモットーにして生きてきた<“優しく包むように”>という想いを表しているのでしょう。しかし空だって、心だって、いつも一色ではいられません。ときには<雨雲に覆われ>乱れてしまう日だってたくさんあるハズ。ただ、いつも自分の心より少し早く立ち直り、<止まない雨はない>ことを証明してくれるのが、空。その存在の素直な強さは、きっと何度も<逃げない やめない 終わらない>力を与えてくれるのだと思います。

色付いてく空 染まりゆく景色を
深く息をして感じてる
ふと振り返れば諦めてた事が
そこに置いてあるような気がして

柔らかく光る赤が明日を照らす
時には激しく燃えて必ず掴めるように
突然吹く風が木々を揺らし音がする
立ち向かい歩いてゆく

輝く空のように色を変え純粋に生きれたら
消えない霧はないって前を強く深く見つめて
背中押す追い風に方向を変えれば会えるなら
避けない 止まらない 譲らない
笑顔を見つけるよ
「空」/urata naoya

 また、空が伝えてくれるのは“青”のメッセージだけではありませんね。夕方になれば<柔らかく光る赤が明日を照ら>し、<時には激しく燃え>るような茜色に染まってゆくのです。さらに、夜になれば星や月が闇を輝かせます。そのように少しずつ色を変え、しなやかに、純粋に、今だけの色を見せる空のパワーがまた彼の<避けない 止まらない 譲らない>決心を固めていくのはないでしょうか。

気持ちの根っこの周辺の
表現の仕方は変わっていても
根っこは変えないのが大事だと思いますよ。
今は平気で自分に利があるように
都合がいいように根っこを変える人が多いから
(群ようこ『福も来た パンとスープとネコ日和』より引用)

 作家・群ようこさんの『福も来た パンとスープとネコ日和』という小説には、このような言葉が綴られておりました。“気持ちの根っこの周辺の表現の仕方”とは、日々、表情を変える空模様や心模様のことと言えるのかもしれません。そして、変えてはならない“気持ちの根っこ”とは、まさにurata naoyaが「空」で伝えている<逃げない やめない 終わらない>、<避けない 止まらない 譲らない>芯の強さなのでしょう。
 
 みなさんは、誰といつどこでどんな気持ちで空を見上げ、どのようなメッセージを受け取るのでしょうか…。まずは、urata naoyaの「空」を聴きながら、今日の空模様と、今日の心模様と、向き合ってみてください。

◆ニューアルバム「unlock」
2017年4月26日発売
CD+DVD AVCD-93674/B ¥2,500(税抜)
CD only AVCD-93675 ¥1,800(税抜)

<収録曲>
1. unlock -Introduction-
2. 真実
3. 空
4. 虚像
5. 隣
6. 愛