みなさんには“図書館”にどんな思い出がありますか?

紙とインクの甘い匂いと
日差しに光る少しの埃
図書館の広い机に置いた
大好きな本を開く
宝探しの冒険の旅に
夢中になって読んでいたら
いつの間に居眠りしていて
不思議な夢を見た
「幸せの鍵を胸に」/槇原敬之

 4月30日は【図書館記念日】です。1950年のこの日に“図書館法”というものが公布されたんだとか。たくさんの本から1冊を選び、静かな空間でひとりゆっくり<宝探しの冒険の旅に>出られるような素敵な場所ですよねぇ。ちなみに、槇原敬之の「幸せの鍵を胸に」では、主人公が大好きな本を読んでいるうちに居眠り…。その時にみた不思議な夢が、自分に教えてくれたことを描いております。続きが気になる方は是非、歌詞をチェックしてみてください。
 
 さて、図書館といえば、少女マンガでよく出逢いのシチュエーションとしても使われていますよね。本を取ろうとしたら、偶然同じタイミングで相手と手が触れ合って一目惚れしてしまったり。高いところの本を、男性が取ってくれたことから恋がはじまったり(そんなこと現実では滅多にありませんが…)。では、歌詞の中に“図書館”が登場するときには、どんな物語が描かれるのでしょうか。今日のうたコラムでは、マッキーの曲以外にも、何曲かピックアップ!

短い髪 シャンとした後ろ姿 思い出す度
あなたのようになれたらと 憧れる
図書館で借りた 空の写真集
カードに  つよくてきれいな あなたの名前がある
「眼鏡越しの空」/DREAMS COME TRUE

小説の大好きなフレーズに
しおり挟んで貸し出したこと気づいているかな
偶然を装って図書館で となり同士
もしかしてねえ 中学生なら
「ねえ中学生 feat.私立恵比寿中学」/吉澤嘉代子

 どちらの曲も、図書館という静かな場所ならではの“密やかな想い”が伝わってくるようです。そして少女マンガのような“偶然”とはまた違った行動が描かれていますね。ドリカム「眼鏡越しの空」の主人公が<空の写真集>を借りたのはきっと、憧れの人が同じ本を借りているところを目にしたから。好きな人の好きなものって、ひとつでも知りたいものです。また、貸し出しカードに書いてある名前を見つめるだけでも幸せな気持ちになれそう…。
 
 対する、吉澤嘉代子「ねえ中学生 feat.私立恵比寿中学」の主人公は逆に、<小説の大好きなフレーズに しおり挟んで貸し出した>ことで、好きな人に自分の好きなものを知ってほしいと想っているのでしょう。それができる彼女はおそらく図書委員。そうして図書館にいる時間が長いからこそ、彼が来るたびにそっとときめいて<偶然を装って図書館で となり同士>という行動を起こしたはず。いずれの歌詞も、運命の恋!というより、図書館という場所でゆっくり静かに想いを育てている姿が浮かんできますね。

睡眠薬なんか捨てちまえよ
僕がナイトミルクいれてあげるから
あの頃みたいに上手に笑えないよ
図書館の陰に隠れようよ 煙草を吸おうよ
「ナイトミルク」/石崎ひゅーい

大きな窓から差す
柔らかな光の中で
パサージュ論を読む君の横顔に
じっと見とれていた
「図書館にて」/さだまさし

 さらに、石崎ひゅーいの「ナイトミルク」では一緒に煙草を吸うため、さだまさしの「図書館にて」では君を見つめるための“秘密の場所”として図書館が描かれております。図書館には、たくさんの本がありますが、それ以上に、その場所にいる人たちの秘めた想いや行動がたくさんの物語を作っているのでしょう。皆さんには、図書館にどんな思い出がありますか…?図書館以外にも音楽室や屋上など、歌詞に描かれたいろんな場所の物語に目を向けてみるのもおもしろそうですね!