私はとてもあなたが好きで、私はとても悲しかったんだ…。

赤く染まって 二つ並んだ
付かず離れず 距離を保って

私はとても あなたが好きで
私はとても 悲しかったんだ

まあるい気持ちを 口に含んで
ころころと 転がせば 言葉になるかな
「桜桃」/LACCO TOWER

 桜桃=さくらんぼ。この曲は、5人組バンド・LACCO TOWERが2017年3月15日にリリースしたミニアルバム『薔薇色ノ怪人』に収録されている新曲です。まず、歌の幕開けとなるフレーズ<赤く染まって 二つ並んだ 付かず離れず 距離を保って>…からは、とある二人の“ピタリと触れ合うことはできない”複雑な関係が見えてくるようですね。尚、「桜桃」はすでにMVも公開されており、ボーカルの松川ケイスケは次のようにコメントをしております。

『僕らの楽曲は大きく分けて二つの色に分かれます。優しい白か、激しい黒か。今回のアルバム『薔薇色ノ怪人』はまさに黒から始まり、優しい白に変わっていく一つの物語になっています。その白と黒との明確な境界線、それがこの「桜桃」です。(中略) このアルバムを通して聞いてもらった際、この「桜桃」が、感情の交差点になれれば幸いです。大好きだったあの人を思い浮かべながらご覧ください。』(松川ケイスケ)

 黒が白になる境界線である曲「桜桃」は、まだ完全な“優しい白”ではありません。それは、松川ケイスケの『大好きだったあの人を思い浮かべながら』というコメントからもわかるのではないでしょうか。“大好きなあの人”ではなく、この恋は過去形なのです。それゆえに歌詞も<私はとても あなたが好きで 私はとても 悲しかったんだ>と過去の想いを慈しんで眺めるように綴られております。おそらく、ペアの「桜桃(さくらんぼ)」のように二つ並んでいた恋心は、もう別々なのでしょう…。

でも「嫌」なんて 言えなかった
綺麗なまま 忘れてほしいから
真っ赤になった 目の淵では
涙がほら ふらふらと揺れてる
「桜桃」/LACCO TOWER

 そして今、一つになってしまったその<まあるい気持ちを 口に含んで ころころと 転がせば>、大好きだった頃の気持ちや最後の景色がジワッと溢れてきます。<でも「嫌」なんて 言えなかった 綺麗なまま 忘れてほしいから>…これは、別れを切り出されたあの日の“私”の本音…。ちなみに、「桜桃(さくらんぼ)」の花言葉には【あなたに真実の心を捧げる】という意味があります。もしかしたら「桜桃」は、もう会えないからこそ歌で【あなたに真実の心を捧げ】ているのかもしれませんね。

あたし本当に 嬉しかった
話の続き 忘れるくらい

だから都合よく 覚えているわ
あなたこぼした あの言葉だけ

人は何かを 食べ生きるもの
ならばあたしを 食べてもらって

あなたの中へと 飛び込めるなら
せめて美味しく なれるといいな

喜びも ほころびも 混ぜ合わせて

どうして 言えなかった事
わかりきったような声で ぽつぽつとくれるんだろう
あなたが いるこの世界
それだけでもうあたしに 意味はあるから
それだけでもうあたしは 生きれるから
「楓」/LACCO TOWER

 そして、黒と白の境界線「桜桃」のあとに続く「楓」という新曲では、さらにグッと“優しい白”に近づきます。「楓」の花言葉は【大切な思い出】や【美しい変化】。好きだからこその不安もあるけれど、でも<あなたがいる>というだけで、存在することに、生きてゆくことに、意味を見出せるようになった“変化”が美しく描かれているんです。この曲は、『大好きだったあの人』ではなく“大好きなあの人”を思い浮かべながら聴いていただきたい1曲ですね!

 さて、LACCO TOWERのミニアルバム『薔薇色ノ怪人』に収録されているのは全6曲。「桜桃」「楓」の他、黒ゾーンの「怪人一面相」「悪人」、そして白ゾーンの「折紙」「時計仕掛」でも是非、楽曲の色の違いを楽しんでみてください!

◆ミニアルバム『薔薇色ノ怪人』
2017年3月15日発売
COCP-39899 ¥2,000(+税)

<収録曲>
1 怪人一面相
2 悪人
3 桜桃
4 楓
5 折紙
6 時計仕掛