好きなのに別れなければいけないとき、あなたなら…?

さよならが喉の奥につっかえてしまって
咳をするみたいにありがとうって言ったの
次の言葉はどこかとポケットを探しても
見つかるのはあなたを好きな私だけ
「ハッピーエンド」/back number


 2016年11月16日にリリースされたback number「ハッピーエンド」が、歌詞アクセス数200万回を突破。さらにウィークリーランキングで9週連続1位を記録しております…!つまり今年に入ってからまだこの歌の首位を抑える楽曲は登場していないということ。一体、これから誰のどんな曲が1位に躍り出るのでしょうか…楽しみです。では、まずここで改めて「ハッピーエンド」の歌詞を読み直してみましょう。

 この歌は、まだ相手のことが好きなのに別れなければいけない<私>がヒロイン。そして<さよならが喉の奥につっかえてしまって 咳をするみたいにありがとうって言った>冒頭から、様々な感情がぐるぐると巡った上で、最後の最後に<さよなら>を吐き出すまでの物語です。以前、歌ネットの特集でback numberの清水依与吏さんにインタビューをした際、彼はこの主人公の女の子について次のように語っておりました。

「なんか逃げ出したい感じなのかもなぁ。本当は言いたいことが800個くらいあるんだと思います。でも可愛い女の子として相手の思い出の中に生きていたいから、駄々をこねて最後を汚さないように強がっている、っていうこの状況を早く終わらせたい…みたいな。」(清水依与吏)

 …だからこそ、女の子は「ありがとう」のあとに<次の言葉>が見つからず、本音を偽った数々の“強がりの言葉”ばかりを並べ立てたんですねぇ。さて、今日のうたコラムではここからさらにback number「ハッピーエンド」のような“好きなのに別れなければ…”というシチュエーションを描いたラブソングに注目してみました。そんなとき、歌の主人公は“言いたい800個くらいの言葉”の代わりに、想いを“あること”に託すことが多いんです。

“Don't wanna let you go”言えなくて
あなたの手 握りしめて俯く
想い出が今愛しい 私、私、馬鹿だね...

恋が終わる最後のKissは 優しすぎて愛したくなる
ずっとずっと心の中で 好きよ好きよ 今叫んでる
この一瞬が私の全てで 一人永遠を感じるの
この先何年経ったとしても きっときっと忘れない
「Last Kiss」/CHIHIRO

たった一度 抱きしめてくれるなら 風が涙さらう前に
“さよなら”さえ 言いだせない私が 
ありったけの勇気で
あなたにもらった 最初で最後のKiss
しめつけられる胸が 痛くて動けない

こんなに悲しいなんて 思ってなかった
一度 抱きしめてもらえたなら
あきらめつくはずだったのに
こんなに悲しいKissなら 二度といらない
「悲しいKiss」/DREAMS COME TRUE

 その“あること”とは“最後のキス”です。最後のキス、Last Kiss、というタイトルの楽曲や、このワードが歌詞中に登場するラブソングは多数存在します。もし、相手に対する怒りや恨み、嫌悪感が強かったなら、別れる際にキスなんてする気にはなりませんよね。まだ“好き”が残っているからこそ、キスができるのです。最後にせめてもう一度、キスをしたくなるのです。そしてそれは言えない<“Don't wanna let you go”>や<好きよ>や<“さよなら”>も込めた、渾身のキスなのではないでしょうか。

もう一度出逢えたなら 違う二人になりたい
きっと好きになりすぎて あなたを困らせてたね

逢いたい気持ちだけを 消せる魔法があるなら
もっとあなたの隣で 上手に歩けたかな

ありがとうって言ってくれた
涙がまた止まらなくて
意地悪だね いつものように 
最後のキスを置いてくなんて
「最後のキス」/奥華子


 奥華子が2017年2月22日にリリースした新曲もまた「最後のキス」というタイトルです。上でご紹介した2曲と同じく、この主人公の女の子も好きだけどサヨナラのパターン…。歌詞を読んでみると、一方の別れた恋人も、もしかしたら「ありがとう」の先の言葉が見つからなかったからこそ、<最後のキスを置いて>行ったのかもしれないですよね。だけどそれは彼女にとって<意地悪>にも感じること。最後のキス、しても、しなくても、苦しいですね…。最後の言葉、何を言っても哀しいですね…。みなさんなら“好きなのに別れなければいけないとき”、どんな最後を選びますか…?

◆紹介曲「ハッピーエンド
作詞:清水依与吏
作曲:清水依与吏

◆紹介曲「Last Kiss
作詞:CHIHIRO
作曲:CHIHIRO

◆紹介曲「悲しいKiss
作詞:吉田美和
作曲:吉田美和

◆紹介曲「最後のキス
作詞:奥華子
作曲:奥華子