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今日のうた

オトループ

自分の“思い”を“言葉”に変換するのが苦手な方に聴いてほしい…。

思いはたくさん、あふれるほど胸をつくのだが
それを言い表す言葉を見つけられなかった。
というより、言葉を発する瞬間に
わずかな重力を感じるようになった。
何か言いたいことがあっても、
その重力のため、口が簡単に
開かなくなったのである。
(西加奈子『円卓』より引用)

 みなさんは、このような経験ありませんか? 言葉って、本当に難しいですよね。わかってほしい、なんとか伝えたい、そう思って口にすればするほど、自分の心と言葉がどんどんズレていくような気がしたり。相手に“本当”ではないことが“本当”のように受け取られてしまったり。そして、うまく伝えられない苦しみはやがて口を開かなくする<重力>になってしまうのです。そこで今日のうたコラムでは、そんな重力を感じている方に聴いていただきたい新曲をご紹介いたします。

ことばって不思議だ 使い方ひとつで
傷付けることも あたためることもできる
想いをもっとうまく伝えたい
ことばを探す旅に出る
「ことばを知りたい」/オトループ

 3人組ロックバンド“オトループ”が2017年2月22日にリリースした1stフルアルバム『反響定位』の入口となっている楽曲です。「ことばを知りたい」というタイトルはまさに、誰もが抱いている気持ちなのではないでしょうか。とくに、親友や恋人など自分と近しい人にほど、うまく言葉が伝わらないとツライ…。では、この歌と一緒に<想いをもっとうまく>伝えるための<ことばを探す旅に>出てみようと思います。

一番知りたいのは そう
そっぽ向いた心の距離縮められるようなことば
僕にはとても難しくて

これじゃない あれじゃない どれでもない
足りない 足りない 物足りない
引き出し片っ端 開けてみても
手掛かりひとつも どこにも見当たらなくて
燃えカスみたいなことばが散らかる心
「ことばを知りたい」/オトループ

 生まれてからこれまで、数え切れないほどの言葉を習ってきたはずなのに、どうして<そっぽ向いた心の距離縮められるようなことば>は、どこにも見当たらないのでしょうか。たとえば大切な人が落ち込んでいるとき、励ます言葉ならいくらでも知っているのに<これじゃない あれじゃない どれでもない 足りない>…。いざというときに役に立たない言葉なんて何のために学んできたんだろう、と落ち込んでしまいますよね…。

「元気出して」余計なお世話か
「がんばって」きっと それって
「言われなくても」

脳をフル回転 NO WAYどの概念
どれもこれも とても陳腐で

独りよがりなこの想い
気持ちに追い付かないことば
これじゃ伝えたいこと1/10にも満たないや
「ことばを知りたい」/オトループ

 さらに歌詞の中には<「わかるよ」「大丈夫」「気にすんな」「ひとりじゃないよ」 上辺を撫で回すだけのことばなんて もう嫌だ>というフレーズも。<伝えたいこと1/10にも満たない>くらいならもういっそ“0”の方がマシか、という伝えない“重力”が働いてしまいそうになります…。しかしここで一度、言葉を伝える側ではなく、受け取る側の立場になって今までの人生を思い出してみてください。
 
 もちろん、「わかるよ」と言われたとき「あなたに何がわかるの!?」とイラッとしたこともあるかもしれません。ただ、この曲の冒頭にあったように<ことばって不思議>なんです。“陳腐”だ、“上辺を撫で回すだけ”だ、と思っていたシンプルな言葉が、ふと誰かに言われたとき、何故かスッと心に染み込んで、ものすごいエネルギーになったりした経験はありませんか? それはきっと、相手が本気で伝えてくれた言葉を、捻くれず受け取れる時がやってきたからなんです。

ことばを知りたい 投げたい 編み出したい
一切合切伝えたい
自分の答えを見つける為
僕はそう ずっと終わらない旅を続ける

もっと心伝えられる
自分だけのことばを探し求めている
「ことばを知りたい」/オトループ

 歌はこのように幕を閉じます。<もっと心伝えられる 自分だけのことば>を探し求める旅にまだまだ答えはないようです。だけどその旅のなかで大切なことは、使える“語彙”を増やしていくことではなく、本気で伝えたいという想いを失くさないこと。そして、自分の中では<1/10にも満たない>と感じた言葉だとしても、とにかく1/100でも1/1000でも口にしてみることなのでしょう。それが相手にとってはちゃんと“伝わる”言葉であったり、“特別”な言葉になったりするのかもしれません。だからこそ“重力”には負けずに、生きていきたいですね…!