世泣き節

通り雨に濡れたコートのポケットには
しわくちゃに握りしめられた履歴書と
禁煙(やめ)たはずのセブンスター
冷たいあんたの手
その手を握りしめてるあたしの手

東京にはきっと夢があるんだなんて
田舎もん丸出しで降りた新宿駅には
あの頃の弾き語りも手相占いも
今じゃもういない

遠すぎる 遠すぎる明日を
夢見ても 夢見ても届かない
それでもあんたが行くのなら
ヤレエンヤラサって着いて行くよ

流れる風の儚さに
笑って涙を流します

便利さばかりが先走るこの街では
結局取り残されるのはあんたみたいな人で
そのくせ小さな画面で仕事を探してさ
その背中は寂しいね

世の中を 世の中を泣いても
その声は その声は聴こえない
見上げる夜空に朧月
ヤレエンヤラサって明日天気

流れる時代(とき)の侘びしさに
今日も流浪(さすら)うふたりです
寄り添う街の世泣き節

ただ愛しくて
ただ愛しくて
ただやさしくて
そばにいたくて…
いつも通りのこの帰り道
しあわせを見つめてた
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