屋根裏

私の背丈がとまった冬の日
土産の焼酎たずさえて貴方が帰ってきた

すこし伸びた髭を無作法に撫ぜると
大きくなったね懐かしく笑った

昔みたいにお部屋に行ってもいいと
なぜか訊けない
ふくらんだ胸が寂しいよ

やねやね屋根裏の住人
またどこかへ旅に出るのでしょう
やれやれ困ったものだよ
そんなに待っていられないからね

叔父さまの御友人の奥様の御兄弟の
曾御祖父さまの孫の貴方ともし

めぐりめぐった末の非情な因果で
血が繋がっていたらどうしよう なんてね

旅路の果て 荒野の一角で
いちどでもいい
思い出してくれたことある

やせやせ痩せっぽっちだなんて
そんなに甘くみないでよね
やさやさ優しくないのね
お嫁にいっても知らないからね

やねやね屋根裏の住人
またどこかへ旅に出るのでしょう
やれやれ困ったものだよ
私すぐに大人になるからね
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