男の絶唱

鬼も蛇も出る 浮世の川を
命からがら 度胸で渡る
浮いて沈んで 汚れても
泥に咲く花 睡蓮の
あゝ 睡蓮の
純なこころは 忘れまい

春の風吹く 桜の下で
惚れたあの娘と ふたりの宴
何度見ただろう そんな夢
苦労“く”の字で 眠る夜は
あゝ 眠る夜は
遠い故郷(こきょう)が 近くなる

いかに時代が 移ってゆけど
見失うかよ こころの灯り
雪の如月(きさらぎ) 風弥生(かぜやよい)
越えて卯月(うづき)の 酒酌(く)めば
あゝ 酒酌(く)めば
夢は千里を 駆け巡る
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