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LIVE REPORT

Merry

Merry 日比谷野外大音楽堂

2007年08月12日
@日比谷野外大音楽堂

東名阪の3公演で結成から現在までの全曲をプレイするという『MERRY SONIC 07』の初日となった日比谷野外大音楽堂。ステージにはブランコが設置され、バランスボールが置いてあるものの、特にセットに凝っているわけではない。また、野外ということで陽が高いうちは照明がほとんど効果を成さない。このシチュエーションでどんなライヴを観せてくれるのかと期待していたのだが、メリーのバンド力というものを体感させてくれた。哀愁あるフレーズを奏でたり、重たいリフを刻んだりしながらも前に出る時はソロを弾き、下がる時はバッキングに徹するというコンビネーションで楽曲を彩る健一と結生のツインギター。ボトムを支えつつも存在感のある音色を落とすテツのベースと、攻撃性を秘めたダイナミックなネロのドラムによる鉄壁のリズムセクション。そして、狂気じみたパフォーマンスに目を奪われるが、しっかりと説得力と深みのあるガラのヴォーカル。ジャジーなナンバーでは女性ホーン隊が加わったり、楽曲によってはキーボディストが入ったりもしたが、それ以外は5人による強固なバンドサウンドを聴かせたのである。中盤までMCなしで畳み掛けるように展開していったのも、そういう状況下だからこそ敢えて“バンド”というものを音でもって見せつけた、彼らの意思表示だったのかもしれない。 陽が傾き始めステージがライトの色に染まるようになると、黄金期の昭和歌謡曲を昇華させたようなロマンチシズムや悲哀などが織り込まれたオリエンタルなロック...つまり、メリーが提唱する“レトロック(レトロ+ロック)”がよりその世界観を高めていく。アグレッシブだったり、ミステリアスだったり、復古調だったりとサウンドは色とりどりの表情を見せつつも、そのど真ん中には彼らにしか出せない色が存在していたのも特筆すべきところだろう。これまでのヒストリーの中から、いろいろなタイプの楽曲が披露されたが、決してぶれることのなかった“メリー”というカラー。そして、揺るぎのないバンドサウンド。『MERRY SONIC 07』の初日とはいえ、バンドとしてのスケールも魅せたライヴだった。