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LIVE REPORT

THE ORAL CIGARETTES ライヴレポート

【THE ORAL CIGARETTES ライヴレポート】 『Kisses and Kills Tour 2018-2019 Arena series ~Directly in a wide place~』 2019年3月17日 at 横浜アリーナ

2019年03月17日
@横浜アリーナ

4thアルバム『Kisses and Kills』のリリースに伴う、半年に渡るワンマンツアーのアリーナ編がついにファイナルを迎えた。景気付けの恒例4本打ちはもちろん、アルバムコンセプトの表現とメンバー紹介を兼ねた近未来的ムービーがあったり、「What you want」の入りで火花が爆発し、さらにタイポグラフィーやレーザーが炸裂したり、いきなり沸かせる序盤。

でも、何より圧倒されたのはそれらド派手な演出に負けないバンドの姿だった。山中拓也(Vo&Gu)、鈴木重伸(Gu)、あきらかにあきら(Ba&Cho)、中西雅哉(Dr)が繰り出すスケールの大きい楽曲にこの日の特別感が相まって、満員の会場は一気に過熱! 中西の連打に合わせて“THE ORAL CIGARETTES”の文字がビジョンを駆けた「もういいかい?」、あきらのスラップ&鈴木のオーラルらしい鋭角リフを口火に横浜アリーナが揺れた「容姿端麗な嘘」と、胸震える瞬間が続く。

最初のMCでは、強力な助っ人として天井に設置された人工知能“KK CUBE”を山中が紹介。“KK、電気消して”“KK、最近聴いたアルバムで一番良かったのは何?”(→答え:THE ORAL CIGARETTESの『Kisses and Kills』デスカネ)など、質問や呼びかけに応じてくれるのを実演しつつ、このボックス型のAIがライヴで重要な役割を担っていくことを説明した。そして、“まずはKisses=愛をあなたたちに表現していきたいと思います。KK、愛を歌う曲をちょうだい”と切り出し、「LOVE」のイントロへ。突如リミッターを外し、すぐさまカラフルな巨大ディスコ空間を爆誕させられるのが今のオーラル。バラードの「不透明な雪化粧」になれば、たくさんのしゃぼん玉を舞わせて幻想的に歌を響かせたりと、麗しい世界観でも凄みを伝えてくる。

“アリーナツアーまでできるようになったんやけど、やっぱり変わりたくないんですよね。気取りたくない。物理的な距離は遠くなるので、心の距離はもっと近くにありたいと思ってます”という熱いくだりから、“ライヴハウスと同じように下ネタを話したい”とおどける山中。呼びかけに応じてKK CUBEが女性の口説き方をあきらに尋ねるなど、自由奔放に会場のムードを握っていく。そんな流れを活かして本能のままに突っ走った「起死回生STORY」「リブロックアート」、曲中に“変わってないでしょ?”とファンに微笑んだ「トナリアウ」をテンポ良く披露。前半ラストは“自分たちがこの世界に何を残せるんやろ?って考えながら聴いてもらえたら嬉しいです”と、大切な楽曲「ReI」を山中のギター弾き語りで届けた。

ライヴ後半は一転、憎しみを原動力にしたKillsパートへ。KK CUBEにも不穏なワードが次々に映し出され、いったんはけたメンバーが再登場すると、「Ladies and Gentlemen」「PSYCHOPATH」の暴走ロックサウンドに乗せて、マイナスのドス黒い感情が辺りを覆い始める。両極端どっちもあってこそ人間は美しいということを示すように、葛藤や不安を燃料にテンションがどんどん加速! 凄まじいほどのヘッドバンキングを誘い、さらに最新曲「ワガママで誤魔化さないで」でも大いに熱狂させてくれた。そのあとに“古い曲を1曲やらせてください”とR&B調にアップデート(!)した「LIPS」がくるのだから、もう落差と驚きでドキドキが止まらない。

かつて横浜アリーナへ大好きな先輩のライヴを観に来た際、山中はこの会場でそのバンドにしか出せない存在感を目の当たりにして、嫉妬や羨望の念を抱いたという。“でも、そんな時に感じられるものは自分がやるべきことなんだと思います。もともとロックなんて弱い奴がやるものなんです。だからこそ、説得力がある。弱いままでも大丈夫”と続け、負のパワーを肯定してみせた。また、今後について“オーラルにしかできない攻め方で海外級のアーティストを目指す”と頼もしい言葉も飛び出し、「CATCH ME」以降はいよいよクライマックスのキラーチューン祭りへ!

“助けてよ!!!”という山中の絶叫で始まった「カンタンナコト」、鈴木のギターソロなどでますますアッパーに燃えた「狂乱 Hey Kids!!」と、オーディエンスが合いの手を入れやすい超キャッチーなナンバーの数々を聴くうち、オーラルのライヴには彼らの人間臭い感情に共鳴した人たちが集まっていて、たとえひとりひとりが弱くとも全員でとてつもないパワーを巻き起こしているのがよく分かった。本編ラストの「BLACK MEMORY」では、無感情なKK CUBEが煙を噴いて故障。その真意にも思考をくすぐられる。

アンコールの「ONE'S AGAIN」で“今は弱くても強くなれる。俺たちが証明するから!”と改めて呼びかけた山中。バンドの自信とファンへの信頼、その固い結び付きが感じられ、美しい大団円を迎えたと誰もが思った瞬間、最後にまたも驚愕の展開が待っていた。山中が技術の発展、便利であることへの警鐘を暗がりで告げ、“俺らが求めてるのは愛情や憎しみや冷たさや温かさ。感情は自分に向けるだけじゃなく、人とぶつけるもの。それがあなたたちは今できてますか?”と問う。そして、“俺らは感情にこだわり続けます。この世から人間の感情がなくなりませんように”と言い放ち、メンバーのシルエットのみを浮かび上がらせた演出で「嫌い」を投下! 感情のパワーを狂おしく叩き付け、どよめきを残すほどオーディエンスを高ぶらせてステージを去ったのだった。衝撃のエンディング含め、実にコンセプチュアル。オーラルにしかできない攻め方、今後も期待してしまう。

撮影:Viola Kam (V’z Twinkle Photography)、鈴木公平/取材:田山雄士