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LIVE REPORT

LUNA SEA

『The Anniversary 2017』

2017年05月29日
@日本武道館

LUNA SEA結成記念日のライヴ。事前にこの公演ではSUGIZO(Gu&Vi)のギターの電源に、再生可能エネルギーによる水素燃料電池車を取り入れるという世界初の試みも発表されていて、日本武道館前には電源として使用される車が待機していた。

360度客席に囲まれた会場に月光のSEが流れ、いくつかオープニングを飾る曲を思い浮かべていたら、最初にきたのはLUNA SEAのナンバーの中でも強烈に勢いのある「Metamorphosis」。意表を突く始まりにオーディエンスも驚く。5人が鳴らす重厚な音が身体に刺さってきて、LUNA SEAのライヴに来たと実感する。「Metamorphosis」を途中まで演奏すると、「PRECIOUS...」に突入するという特別な演出でさらに盛り上がる。細かな音に合わせ、次々と変わっていく照明。照明に凝ったライヴは数多くあるが、彼らのライヴだとまるで照明も音楽を奏でているように見えた。

“我らが1万4000人のSLAVEたちよ、元気ですか”とステージを取り囲むオーディエンスに語り掛けるRYUICHI(Vo)。ライヴ前半はまず久々に演奏された1stアルバム『Image』に収録されている「Image」が強烈な印象を残した。低音から急に高音が混ざる、艶っぽいRYUICHIのヴォーカル、ストイックな真矢のドラム、ゴリゴリと迫ってくるJのベース。INORANのアルペジオとSUGIZOの広がりを感じさせるギター...その全てが絡み合い官能的な世界を描く。そして、真っ赤な照明が照らすステージにイントロが流れて、ひと際大きな歓声が上がったのは「HURT」。一塊になって演奏するメンバーの姿を観ていると緊張感が漲る。

そのままステージ上方にあったセットが降りてきて、ステージを囲んだ。そこにSUGIZOがヨルダンで出会ったシリア難民の子どもたちや、平和を願う写真家たちの写真が映し出され、戦争について書かれた「NO PAIN」に。98年の曲だが、今の世界を取り巻く環境を見ると、今まさに演奏されることの必要性を感じた。普遍的な音楽を作るLUNA SEAだからこそ、時代に風化せず訴えかけてくる。さらにSUGIZOのヴァイオリンで始まる「I’ll Stay With You」が続く。世界に目を向けていたオーディエンスの視点が、この静かな曲で自分の身の回りに意識を戻され、“自分はどうしていくのか?”と問いかけられたような気がする。

後半の盛り上がる楽曲が詰め込まれたパートでは、360度囲まれた中でオーディエンスが拳をあげる「TIME IS DEAD」がやはり圧巻。そして、「ROSIER」が終わって再び「Metamorphosis」へ。同曲にはさまれることにより、これまでの流れは壮大な物語であったように感じた。

MCでRYUICHIは新しいアルバムのテーマが“愛”に決まり今年中にリリースすること、さらに12月23日と24日にさいたまスーパーアリーナでライヴを開催することを発表した。ラスト曲の「WISH」が終わっても鳴りやまない拍手に対してRYUICHIは“もっともっとスリリングなバンドとしての道を刻んでいきたいと思います”と思いを伝えて、最後は壮大な「MOTHER」を届けた。

今までの曲を見事にひとつのストーリーに組み上げた今回のライヴ。そして、いよいよ次のアルバムが明確になってきたことによって、ますます今後の展開に期待が高まる。

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