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LIVE REPORT

吉澤嘉代子

『獣ツアー2017』

2017年05月07日
@東京国際フォーラム ホールC

デビュー前から考えていたアルバム三部作の集大成『屋根裏獣』を引っ提げて。ほとんどラウドロックな1曲目「ユートピア」で爆音エレキを掻き鳴らしたかと思えば、かわいいエプロン姿でタンバリンを叩く「ラブラブ」からきらきらポップな「ねえ中学生」へ、相変わらずの変幻自在ぶりで掴みはOK。ドラムス伊藤大地、ベースガリバー鈴木、ギターKashif、キーボード山本健太によるバンドは鉄壁で、メロウでファンクな「えらばれし子供たちの密話」やディスコポップな「綺麗」などグルーブは完璧。恒例の小芝居では若奥様に扮してコミカルなホームドラマ?と思いきや、いきなり猟奇殺人事件を引き起こして「地獄タクシー」へとなだれ込む、あまりの急展開にシュールな感動と困惑を禁じ得ない。これぞ吉澤嘉代子の妄想ワールド。「麻婆」では“おくんちの龍踊り”の如く龍を引き連れ客席を練り歩き、「ぶらんこ乗り」では鍵盤ハーモニカのもの悲しい音色とアコースティックギターでしっとり聴かせる。本編ラスト「一角獣」は、サウンドこそエモいロックだが歌詞の切なさはどんなバラードより深く、《ずっとあなたに会いたい》という心の叫びが突き刺さる。Kashifがすごいギターソロを弾いた。きっとこの歌詞が『屋根裏獣』の、そして『獣ツアー2017』のテーマ。思春期を歌い続ける吉澤嘉代子の、ひとつの結論と言える名曲だ。そしてアンコールには5月24日リリースの新曲「月曜日戦争」を初披露。目の前でメリーゴーラウンドが回るように、くるくる変わるシーンが楽しいアッパーでスペイシーなポップチューン。さらに“アルバム3枚の中で一番大事な曲を”と言って歌った「ストッキング」の、なんと切なく美しく力強いことか。さらにダブルアンコールではカセットデッキにテープをセットし、カラオケ状態で「月曜日戦争」のカップリング「フレフレフラレ」を。しっとりテンポに合わせて客席を歩きながら歌い、見えなくなったと思ったら2階に現れて歌い続け、2階から“今日はありがとうございました”と手を振る、前代未聞のエンディングにびっくり&ほっこり。不思議なものを見た幸せと心地良さと怖さと泣きたくなる気持ちと、いろんな感情がごちゃ混ぜになるこの読後感、吉澤嘉代子のライヴでしか味わえない。また行こう。