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LIVE REPORT

amazarashi

『amazarashi LIVE TOUR 2014「夕日信仰ヒガシズム」追加公演』

2014年12月24日
@渋谷公会堂

彼らの持つヘヴィな側面を吐き出したアルバム『夕日信仰ヒガシズム』からの冒頭3曲で、テンションはいきなり頂点へ。レーザーが飛び交い、七色のライトが警告灯のようにぐるぐる回る。amazarashiのライヴは何度も見ているが、こんなに生々しい衝動をぶつけるオープニングは初めてだ。秋田ひろむの朗読が次第に熱を帯び、叫ぶようにして「風に流離い」へと突入した時には鳥肌が立った。中盤、ピアノがリードする「春待ち」からはメロディアスな曲が続くが、緊張感は途切れない。「クリスマス」「ラブソング」では久々に、禍禍しいバケモノがスクリーンに登場して暴れまわる。朗読をまじえた「冷凍睡眠」の鬼気迫る大音声もすさまじい。が、この日のハイライトは何といっても「ひろ」に尽きる。極上にエモーショナルな歌と、それを支えるバンドの推進力。激しさ、悲しみ、愛、後悔、そして希望。あらゆる感情を込めて力強く突き進む、バンドの現在位置を示す最新名曲だ。

“ツアーもあと2曲で終わり。淋しいけれど、そういうものです。ちゃんと終わらせて、わいらは次へと行きたいと思います”――珍しく秋田ひろむが長めの言葉を放ち、聴衆は熱い拍手でそれに応える。果てしない宇宙へと突き進む列車のアニメーションと共に、ラストソング「スターライト」を歌う秋田の声は、もはや枯れる寸前だったように思う。発光、暗転、明るくなる場内。夢から覚めた後味はいつものことだが、何かが違う。過去と現在の集大成のようなライヴの向こうに、希望の光が見える。彼らの世界は確かに、濃度を増しながら広がっている。