母の磯笛

夢砂漠 のぞみ破れて
独り注ぐ 酒のにがさよ
わびしさに 瞼とじれば
ひたひたと こころ濡らして
沁みわたる 母の磯笛

故郷(ふるさと)よ 俺の海よ…
愛しきひとよ 今、何処(いずこ)…

うちよせる 時代(とき)の潮流(ながれ)に
浮き沈み 流れ流され
めぐり会い わかれ別れた
それぞれの 人々(ひと)の面影
今はただ 酒にうかべて

にごり絵の 巷(まち)のざわめき
汐鳴(しおな)りに いつか重なり
ふるさとの 訛(なまり)やさしく
涕(な)きにこい 待っているよと
きこえくる 母の磯笛

故郷よ 俺の海よ…
見果てぬ夢よ 今、何処…
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