ケーキの残骸

私が愛した偏りへ、心からの愛を込めて送ります。

包丁にこびりついたクリーム。
あぁ、勿体ない。あ、私もいらない。
そう、これ。これに似ている。
あなたが梯子を外した夜。
求められていない気がした、よ。

私が愛した偏りは誰かによって直されていた。
うん、あなたは正常になっていた。つまらなくなっていた。
気取ってんなよ。

らんらんらん、とノンシャランに
生きられるほどずる賢くはなくて。
ゆったりしたまばたき。
もったり舌触りケーキ。ふふ。

サンプルみたいな砂糖菓子。
大抵美味しくないから捨てる。
ヒールはあなたが嫌うから
慎重に足す身長。ずれていく波長。

年越しの際すらお酒とジュース。酔いと素面。
旺盛と冷静のちゃんぽんは最悪。
食べられず、「 の形に残る不憫なケーキ。
延々と続くツークツワンク。

言葉は刃物。
刃を向けて渡すなと教わらなかったの?
お里が知れますね。あーね。
急に冷めました。じゃあね。

ノンシュガーで事足りるなら
みんな、それしか飲まなくなる。
奥歯に甘さが届くような
不健康なケーキがいま食べたい。

私が愛した偏りは、誰かによって治されていた。
えぇ。あなたは正常になっていた。
一緒に狂っていてほしかったんだよ。

私が愛した偏りへ。心からの、
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