花瓶

消えないまま憶えてるよ
君を纏う記憶
たった昨日のことも曖昧でろくに
思い出せないけど

綺麗で、綺麗で、変わらない
手のひらで光るもの

ばらの花言葉を咲かせて
ばらの花言葉を紡いで
どんな時間も
どんな景色も
君と重ねて
そうやって束ねた想いも
アルペジオみたいに溢れた
どんな誓いも
どんな台詞も
いつか枯れてしまうことを
まだ何も知らない画面のふたりが笑う

例えば、また、君の声で
朝を迎えられたらな
味気ない日々に目を覚ます度
思い返す癖だ

昨日も、今日も、変わらずに
手のひらで光るけど

君のいない部屋を仰いで
意味すらない日々を過ごして
こんな時間が
こんな景色が
ふたりの答えで
嫌になって捩れた想いが
ディスコードみたいに響いた
どんな誓いも
どんな台詞も
いつか朽ちてしまうことを
まだ何も知らない画面のふたりが笑う

広くなったこの部屋に
生けたままの萎れていった幸せに
溺れてしまいそうで
それでもまだ
捨てられないままに
そっと

ばらの花言葉を咲かせて
ばらの花言葉を紡いで
どんな時間も
どんな景色も
君と重ねて
そうやって束ねた想いも
アルペジオみたいに溢れた
どんな誓いも
どんな台詞も
いつか枯れてしまうことを
まだ何も知らない画面のふたりが笑う

記憶の中の君を呼ぶんだよ
笑った君が僕を呼ぶんだよ
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