深海魚

誰かが 言っていたんだ
君は地上じゃ 生きられないと
指差し笑う

誰かが 言っていたんだ
あいつらはまだ 生きてたのかと
そんな声も
届かない水の中
落ちてく餌に喰らいついて
生きてる深海魚

もがいてももがいても
沈んでいく身体

ah…まだ夢を見られるなら
もう一度 地上へと引き上げて くれないか
ah…どこまでも 落ちていく
剥がれた鱗の傷跡に
汚れた真紅の 血が滲む

誰かが 言っていたんだ
それは理想のあなたじゃないと
もうどこにも
居場所なんてないから
逃げ込むようにたどり着いた
深い海の底で

どんなに叫んだって
小さな泡になる

ah...音もなく 消えてくのか
地上への憧れも いつか見たあの夢も
ah…真っ暗なこの場所で
私は 何を 憎めばいい?

なんで私は生きているのか
なんで私は生きていたいのか
死に行くことを 恐れる意味が
きっとここに あるはずだから

ah…まだ夢を見られるなら

ah…まだ夢を見られるなら
もう一度 地上へと引き上げて くれないか
ah…どこまでも 這い上がれ
剥がれた鱗の傷跡に
綺麗な真紅の 血が滲んだ

水面に波紋が 揺らめいた
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