帰りたくないのは僕だけかな
頬張る君のことただただ眺めてた

帰したくないのは僕だけかな
終電の時間を少し遅めに言ってみたけど

上着に手をかけた君を
もう何も止める術もないから
慌てて僕も帰る支度をして
駅までひとつの傘を差して歩く

付かず離れずの距離のまま
濡れた右肩がバレないように
小さくて透明な傘に差し込む
駅の光が二人を離した

「じゃあ明日ね」と手を振った君に
途端に愛おしさが止まらなくなった

明日も君と仕事先顔合わすけど
今日じゃなきゃ今日じゃなきゃ
今日を終われそうにないんだ

相合傘、左に君を戻して
このまま夜を二人過ごそうなんて
言えぬまま君が改札を抜けていく
呼び止めることもできなくないけどさ

付かず離れずの距離のまま
今日も君を明日に見送った
小さくて透明な傘に差し込む
街の光は僕を灯した
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