対馬情歌

島のあいだを 吹き抜ける
風が時化(しけ)を呼ぶ
沖は逆巻く 波やろうね
あんた案じて 浜に出る
対馬海峡 船を出しゃ
命捨て身で かからんと
波に呑まれて 砕け散る
負けんとよ 負けんとね

風がおさまりゃヨー あんたは帰る
無事を願って 朝を待ちゃ
遠い島影 船灯(ふなあか)り
ハァ ヨイサ ハァ ヨイセ

陸(おか)に上がれば ほろ酔いで
五合徳利(ごんごうどっくり)を
日がな一日 枕して
ごろ寝うたた寝 舟を漕ぐ
対馬海峡 網を捲(ま)きゃ
きりり男の 顔になる
そんなあんたに 惚れちょったい
負けんとよ 負けんとね

対馬海峡 荒波を
どんと乗り越え 舵をきる
あんたその腕 見せんばね
負けんとよ 負けんとね
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