嘘とリコーダー

先生、僕がやりました
放課後誰も居ない教室で
圧倒的に魔がさした
とでも言えば僕は赦されるのですか
先生、僕がやりました
計画なら数学のノートに
殺風景な日常を
美化委員は彩ってくれませんでした

カラカラになった花瓶に
僕を垂らしただけだ

嗚呼 口に含んでしまったのは
夢にまで見たあの唇が
鳴らしたリコーダー
花瓶の中で響いているエーデルワイス
奪ったのは他でも無いこの僕だ

先生、僕はいつからか
あの子のことが好きになりました
圧縮されたこの心臓
育ってやがて鋭利な三角定規
先生、僕はいつからか
劣等感に苛まれました
凛と花咲くその姿に
少しの嫉妬と愛情を覚えました

忘れ去られつぶれてる
カビたパンみたいだ

馬鹿で結構 切捨メンゴ
未来永劫 結ばれないなら
此処で決行 サヨナラ月光
僕のエゴ
カラカラになった喉を
掻き切ってしまえたら

嗚呼 先生僕が、やりました
後悔すら消えてしまうほど
鳴らしたリコーダー
口に含んでしまったのは
夢にまで見たあの唇が
鳴らしたリコーダー
花瓶の中で響いているエーデルワイス
奪ったのは他でも無いこの僕だ
奪って折って汚したのは僕だ
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